最近覚えたらしい流行歌を口ずさみながら、キッチンに立つプロイセンの背後にドイツは立つ。それに気づいて、プロイセンは振り返る。
「お、おはよ」
「お早う。珍しく早いな」
「…んー、まぁな」
フライパンの上でホットケーキが踊る。最近、プロイセンのお気に入りのメニューだ。ドイツは背後から締まった腰へと腕を回す。プロイセンからはホットケーキの匂い。シャワーを浴びた後なのか、湿った髪からはシャンプーの香りがする。それにドイツは鼻を埋める。
「動き辛い」
「気のせいだ」
プロイセンは溜息を吐いて、火を止める。皿にホットケーキを重ね、バターを一欠けら。カナダからもらったメープルシロップをたっぷりとかけると甘い香りがキッチンに満ちた。
「お前、仕事は?」
「今日は昼からだ」
「…だから、ちょっと遅かったのか」
プロイセンは呟くようにそう言って、ドイツの腰に回った腕を叩く。
「おら、放せ。動けないだろ」
「動けなくてもいいじゃないか」
「寝言は寝て言え。これ、お前にやるから、食え。俺は今から自分のを焼くから…って、どこ触ってんだよ!」
エプロンの下を掻い潜って黒のぴたりと体に張り付いたタンクトップの胸をドイツは撫でる。それに、プロイセンの眉がぴくりと跳ね上がる。小さな突起を指の腹で押し上げると、「ん」っと小さな声が漏れる。もぞもぞと手のひらを滑らせて、下はボクサーパンツ一枚で露わになった腿を撫でれば、手の甲を叩かれた。
「サカるなよ!朝っぱらから!!」
「サカりたくなるような格好をしているあなたが悪い」
「はあ?」
プロイセンは眉を寄せる。黒のタンクトップに色気も糞もない同色のボクサーパンツと機能優先のシンプルなエプロンのどこにサカる要素があるのだ?胸がデカくて、尻もバーンとあるような女がそんな格好してたらサカるかもしれないが、胸もなければ尻もない自分の体に性的何かを感じる要素などあるはずがない。
「…こんな格好、誘ってるとしか思えない」
太腿から尻を撫でられ、ぞわぞわと背筋を何かが這い登っていく。捲られたタンクトップの下から伸びてきた指が乳首を摘む。それに、プロイセンは眉を寄せた。
「誘ってねぇ!!…ってか、やめろ!」
朝の光が燦々と差し込むその明るさに流されるよりも羞恥が勝る。プロイセンはドイツを睨む。睨まれたドイツは青い瞳をプロイセンに向けた。
「朝食には、あなたを食べる。だから、大人しくしてくれないか?」
欲望に滾った眼差しで見つめられ、かっーっ血が上っていく。お兄様を朝食にするだ?…ふざけんなよ!この変態が!怒りと羞恥にプロイセンはドイツの青を睨み返した。
「却下だ!!今すぐ放せ!!じゃないと、今日、やらせてやらねぇぞ!!」
こんな朝っぱらから破廉恥な真似が出来るか!
「…そうは言うが、結構、反応してるようだが?」
プロイセンは下着の裾から手のひらを滑り込まされ、尻たぶをやわやわと弄られ、硬く尖ってきた乳首を弄られ、思わず声が出そうになる。反応しかける自分の体を心中、「反応すんじゃねぇ!!」と罵る。諸悪の根源を睨めば、ドイツは思案するような顔をして、それから徐に手のひらを撤退させた。それにプロイセンはほっと胸を撫で下ろした。
「…デザートは最後まで取って置こう。…明日は休みだしな」
名残惜しそうに尻を撫でて離れていた手にに安堵し、捲られずり上がった下着とタンクトップを直し、プロイセンは溜息を吐く。…今夜は寝かせてもらえそうになかった。
オワレ