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「Axis Powers ヘタリア」の二次創作を扱う非公式ファンサイト。
07 . May
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15 . August

一日目、続き。






拍手[3回]






夏だ!海だ!で、一日目。 後編



「ヤキソバ、作っとるんや。見れば解るやん」

ケロッと親分さんが言う。それは見れば解ります。そうじゃなくて、
「どう言う理由があって、お前がこんなところでヤキソバ焼いてんのか、訊いてんだろ!」
うさぎさんが突っ込む。
「あんな、話せば長なるんやけど、簡潔に言うとな、フランシスのアホが美人局に引っかかってん。それのとばっちりが俺にも来てん」
親分さんのあっけらかんとした物言いにムキムキさんは思い切り眉を寄せ、うさぎさんは盛大に呆れた顔をしている。ハンバーガー君は小首を傾げた。
「ツツモタセってなんだい?筒を持つのかい?」
アイスキャンデーを三口で平らげたハンバーガー君が無邪気に訊ねる。…が、誰も答えない。意味、知ってるけど、説明出来ないよ!…ハンバーガー君をスルーして、うさぎさんは話を続ける。
「…ったく、こんなところまで来て、女の尻、追いかけなくてもいいだろうが。…アホが。…で、髭は何してんだよ?」
「フランシスなー、裏でカレー作っとんで」
焼きそばが出来上がり、パックに詰め始めた親分さんが言う。…ってか、具がかなり偏ってますけど!麺ばっかじゃん…と、見ていたら、無言でムキムキさんが詰めたパックを、均等に詰め直し始めた。それに「悪いなぁ」と言いながらも全然、悪びれない様子で親分さんは追加の焼きそばを焼き始める。
「あ、キャベツがないわ。ギル、お前、そこのキャベツ、適当でかまへんから、切ってくれへん?」
「あ?適当っで、どれくらいだよ?何センチ四方か具体的に言え」
「適当は適当や!」
「解るか!」
変なところでうさぎさんはドイツ人な几帳面ぷりを発揮するなぁ…そう思いながら、代わりに包丁を握り、かなり適当かつ大ざっぱに一口大にカットする。それを感心したようにうさぎさんが見やる。
「すげぇな。適当で解るのか」
「いや、普通、解りますよ」
俺が切ったキャベツを投下し、親分さんは焼きそばを焼く。その隣で几帳面に紅生姜を盛り付け、青のりを振りかけているのはムキムキさんだ。20パック出来たところで、カレーを10皿分、手にした髭さんが出てきた。
「はい、カレー、お待たせ!…って、お前らかよ…。女の子だと思って、愛想良くして損した!」
髭さんの愛想の良い顔が一瞬で面倒臭そうな顔になる。
「…お前な、」
それに、うさぎさんが眉間の皺を押さえ、溜息を吐いた。
「美人局に引っかかって、強制労働かよ」
「違いますゥ。マダムがバイトの子が辞めちゃって、お困りだったから手伝って差し上げてるだけですゥ」
髭さんは何故か、女子高生が言い訳するみたいな口調でまくし立てた。
「そんなことはどうでもいいんだぞ!オデンと焼きとうもろこし、コーンドック、からあげはまだなのかい?」
食いしん坊、万歳。ハンバーガー君が急かす。
「ハイハイ、ちょっと待ってねぇ」
髭さんは持っていたカレーをうさぎさんに押し付けると、奥に引っ込んでしまった。そして、注文の品を詰めた袋を十袋を持ってきて、ハンバーガー君と俺に手渡した。
「これで、注文全部?」
「いや。ビールがまだだぜ」
「コーラもまだなんだぞ!」
「そこに浸かってるから、欲しいだけ取って、袋に入れてくれる?」
お飲み物はセルフらしい。氷が大量に入り、ガンガンに冷えたクーラボックスの中から、うさぎさんはビールばっか、ハンバーガ君はコーラばっか詰めるその横で、俺は自分と他のひとのために無難なお茶とオレンジジュース等を詰めておいた。

 ムキムキさんが会計を済ませ(ムキムキさん、相変わらずリラックマのがま口財布をご愛用中、萌)、戻ることにした。髭さんと親分さんは書き入れ時になるためは暫くは戻れないらしい。「手伝え!」と言う、ふたりを無情にもうさぎさんは「自業自得!」とバッサリと切り捨てる。…親分さんはとばっちりなのにちょっと、気の毒だなと思うが、ムキムキさんはそれに頷いてるし、ハンバーガー君は食い物に気を取られ、それどころじゃないし…。俺は手伝った方がいいのかとオロオロしていると、うさぎさんに腕を掴まれた。
「リツ、このバカ共のことはほっとけ。帰るぞ!」
「ひどい!ギルの鬼!悪魔!人でなし!もう、お兄さん、遊んでやんないだからね!」
「結構だ!」
お子様の喧嘩のような罵り合いを交わしつつ、うさぎさんは俺を引きずり遠ざかる。
「…あの、本当にいいんですか?ほっといて…」
「イイ歳したオトナなんだから、適当なところで逃げてくるだろ。あいつらの尻拭いしてたら、こっちにも火の粉が降りかかるぜ」
うさぎさんは冷酷かつ冷静にきっぱり、はっきりそう言うと、振り返りもせずにスタスタと皆が待つ場所へ歩き始める。
(…まあ、イイ歳した大人なのは本当だしな…)
まあ、髭さんも親分さんも何とかするだろう…。……多分。


お昼を携え、帰還する。居残り組に髭さんと親分さんのことを報告すると、
「仕方がないひと達ですねぇ」
と、溜息を吐いたのは本田さん。
「自業自得だな!」
フンっと、鼻を鳴らしたのは眉毛さん。
「ウェ~」
と、鳴いたのはイタリア君。
「まったく、しょうがないんだら!」
呆れつつも、心配しているメイプルさんと反応は四者四様。取り敢えずと言うか、ハンバーガー君が「お腹空いたんだぞ!早く、食べようじゃないか!」と騒ぐので、二人のことはほっとけば、そのうち帰ってくるだろうって、ことになってしまったのだった…。


 ハンバーガー君が物凄い食欲で焼きそば、おでん、焼とうもろこしをその他を片づけていくのをあ然と見やり、その横では水を飲むようにビールを飲むムキムキ兄弟と眉毛さんが。…眉毛さんの目つきがちょっと妖しくなってきたけど大丈夫なんだろうか…?メイプルさんはクマ次郎さんにおでんを食べさせている。
「クマ吉さん、玉子食べる?」
「…食ベル」
何か、まったりした空気が流れている。そんなこんなで、一時間ほどまったりと過ごしたところで、ハンバーガー君が立ち上がり、ピッとうさぎさんを指差した。

「ギルベルト、勝負なんだぞ!」

羊羹戦争以来、ハンバーガー君は何かとうさぎさんに勝負を挑んでは返り討ちにあっているのだが、懲りずに今回も挑むらしい。
「勝負って、何すんだよ?」
ワキワキしながら、うさぎさんが口を開く。
「向こうの沖にあるブイに、どっちが早く辿り着けるか、競争なんだぞ!」
「いいぜ。前回は負けちまったが、今日でリベンジしてやるぜ!」
うさぎさんの台詞に、うさぎさんも黒星つくことがあるんだと思う。何て言うか、うさぎさんは器用で、何でも普通以上にこなしてしまうところがある。本田さん曰く、うさぎさんは器用貧乏らしい。
「負けないんだぞ!」
海に出て行く二人を羨ましげに、じっとりした目で見つめる眉毛さんがいる。それにイタリア君が怯え、ムキムキさんの後ろに隠れる。ムキムキさんは何とも言えない顔で溜息を吐いた。
「ヴェスト!」
ハンバーガー君と海に向かっていたうさぎさんが不意に振り返る。
「何だ、兄さん?」
「お前も泳ごうぜ!」
「…そうだな。フェリシアーノ、お前も来るか?」
「ヴェ~!海は俺、得意だよ!」
「ほう。そいつは初耳だ」
ムキムキさんが腰を上げるのに、イタリア君が「ウェ~♪」と言いながらついて行く。それに眉毛さんがもう泣きそうだ。ハンバーガー君、お願いだから眉毛さんも誘ってあげて!と、俺は祈るようにハンバーガー君を見やるが、
「マシュー、君も泳ぐんだぞ!」
ハンバーガー君は眉毛さんはスルーで、メイプルさんを呼ぶ。メイプルさんは困ったように、隣で体育座りしている眉毛さんを見やる。眉毛さんの目には今にも溢れ出さんばかりに、透明な水滴が溜まっている。
「アーサーも来るんだぞ!ヒーローが泳げるように特訓してやるんだぞ!」
ハンバーガー君の言葉に眉毛さんが弾かれたように顔を上げた。それをニヨニヨと本田さんが見やる。…ハンバーガ君が眉毛さんをこのままスルーしたら、どうしようかと思ったよ。
「行きましょうか。アーサーさん」
ホッとした顔でメイプルさんが眉毛さんを促す。
「…別に、アルが呼ぶから、行く訳じゃないんだからな!」
誰にツンデレな言い訳をしてるんだか。言葉とは裏腹に物凄く嬉しそうです。眉毛さん。
「…ったく、船に乗ってたクセに、泳げないとか有り得ないんだぞ!」
眉毛さんにハンバーガー君が言う。眉毛さんがそれに何か言い返すのを、メイプルさんが微笑ましく見てる。
「リツ、お前も来いよ!」
うさぎさんが俺を呼ぶ。本田さんを振り返ると、本田さんはにっこりと笑った。
「私のことは気にせず、楽しんで来てください」
その言葉に甘えて、俺も海に出た。


 さて、うさぎさんとハンバーガー君の競争の結果だが、ハンバーガー君の圧倒的な勝利に終わった。
「アイツは鮫か何かか…」
と、うさぎさんはぼやいていた。
「…まあ、兄さんはアルフレッドよりは重いし、浮かないからな」
ぼやくうさぎさんにムキムキさんが言う。
「重い?浮かない?」
うさぎさんより、断然、ハンバーガー君の方が重そうに見えるのだが。
「脂肪が少ないからな。筋肉の量が多いと、どうしても重くなるだろう?俺なんか、すぐに沈む」
ムキムキさんが言う。そういや、筋肉って重いんだっけ。うさぎさんもムキムキさんほどではないけれど、筋肉質な、無駄な脂肪などない!…って、体、してるしな…。ハンバーガー君は何と言うか、眉毛さんがしょっちゅうメタボ、メタボって言ってる割には、メタボじゃなくて、ムキムキさんには及ばないが、そこそこにいいガタイをしている。…脱いだら、俺、実は凄かったんだぞ!…的な?…俺はひょろガリ、眉毛さんと似たような体型なので、同じ男として、ちょっと羨ましい。

 そんなこんなで、楽しい時間はあっという間に過ぎ、日も暮れ、撤収するかと話していたところで、髭さんと親分さんが戻ってきた。ふたりとも、かなりお疲れのようだ。
「あ~、疲れた」
「ほんまや~」
ぐったりとブールシートの上座り込んだふたりをうさぎさんは見下ろした。
「ギルちゃんが手伝ってくれたら、俺らも泳げたのにー」
「せや、せや!」
ブーブー言うふたりに、うさぎさんは溜息を吐いた。
「フランシスは、こんなところまで来て女の尻追いかけまわした結果だろうが。アントーニョには同情しないこともないが、どーせ、フランシスの甘言に乗せられたんだろ。いい加減、学習しろよ」
と、正論でぴしゃり。ふたりはぐうの音も出ない感じだが、「冷たい」だの「いけず」だのブーブー言っていった。

 まあ、そんなこんなで一日目は終わったのだが、二日目は本田さんが壊れたっていうか、暴走したっていうか、趣味の世界に行ってしまって、皆が阿鼻叫喚になった話をしたいと思う。





二日目に続く。

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