「あにうえ~、何してるんだ?」
朝から部屋に篭っているのを心配に思ったのか、マリアがドアを開いて顔を覗かせる。こちらに来るように手招きするとマリアは嬉しそうに寄ってきて、おれの手元を覗きこんだ。
「…?何だ、それ?」
「猫耳だ」
「ねこみみ?」
随分と昔、ベルギーに付けられたそれ。…イタリアがすごくすごく可愛かった。連れて帰りたいくらいに可愛かった。
「…兄上、ちょっと顔が怖いぜー」
ちょっと不審げな顔で様子を伺うマリアにおれは咳払いひとつして誤魔化す。…恥ずかしいところを見せてしまった。
「…マリア、」
「何だ?」
「ちょっと、そこに座れ」
マリアは大人しく言われるがまま、おれの傍らに腰を下ろし、小首を傾け、おれを見つめた。おれは徐に手にしていたそれをマリアの頭に載せた。
「…………」
「………兄上、」
「…何だ?」
「俺、可愛い?」
可愛かったので、頭を撫でておいた。
猫耳マリアを受信したので書いて見た。この兄弟、和む。