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「Axis Powers ヘタリア」の二次創作を扱う非公式ファンサイト。
19 . May
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29 . July


…精神的プレイ重視です。…それが何なのかも良く解ってないですが、個人的主観で書いているので、これがそうだと思い込まないようにお願いします。

…ってか、SMプレイなんか、俺に書けるはずがねぇだろう。…思いつつ、好評だったので続いてしまったよ…。







拍手[37回]





(早々に辞めるつもりだっったのに、何だ?このスケジュール。殆ど、予約で埋まってるし…。しかも一ヶ月先まで!)

渡された紙に目を通し、溜息を吐く。それにオーナーは整えられた眉を上げた。
「あら、何か不満でもあったかしら?」
「…ってか、俺、辞めたいんだけど…」
扱いても扱いても、手応えがないというか、軍じゃないことは十分承知しているのだが、何と言うか、…どうしたらいいのか良く解らなくなってきたという方が正しい。
「あら、冗談はやめてちょうだい。アナタがウチのトップなんだから、辞められたら売り上げ、激減しちゃうじゃない!」
「え?」
「ユーリー抜いて、アナタがトップ。…って言うか、才能あるわよ。大抵のお客様は苦痛を求めてウチの店に来るわけで、やっぱりそうなると手っ取り早いのは体を甚振ることでしょ?」
「ま、普通はそうだな」
「Sを誤解してるのよね。お客様も店側も。本当のSMって、信頼関係があればこそ。Sは単純にMを甚振れば言い訳じゃなくて、Mの強欲なまでの欲求を満たして、奉仕する側が本来はSなのよ。そこを勘違いしてるのよね」
オーナーは深い溜息を吐く。それにギルベルトはどんな顔をしたらいいのか解らず、眉を寄せた。
「アナタは本当にご主人様向きよね。Mが何を要求してるのか解ってるし、それを満たす術も解ってる」
「いや、解ってねぇし。たまに本当に気持ち悪くて暴言吐いてるだけだし、気持ち悪さに手がちょっと出たりしてるだけだからな?」
それにそう言い、ギルベルトは溜息を吐いた。
「アナタの場合はそれでいいのよ。暴力じゃないもの。プレイの一種でしょ。如何にも軍の鬼教官に自分の性癖を詰られるシチュエーションにお客様は酔ってるわけだから」
「…異常じゃね?」
「異常?異常じゃないわよ。人間って、そういう風に出来てるのよ。苦痛を自分の都合のいいように快感に換えることが出来るの。その快感が強く残ってしまえば、それを求めて、エスカレートしていく。それをまだ、こんなとこで満たされるだけ、マシじゃないかしらね」
「…まあ、解らなくはねぇけど。そんな奴、何人か見てきたし」
戦場は異常だ。そこに日常的な常識は通用しない。壊れていく奴を何人も見てきたし、日常に戻ることすら出来なくなって死んだ奴もいた。
「…そう。深くは聞かないけど、アナタって若いのに時々、老成してるわね」
「そっか?」
「軍服が凄く馴染んでるわ。血の匂いがして来そう」
赤いマニキュアの塗られた指先がギルベルトの頬を撫でる。ムキムキのクセにその指先は意外に細く美しい。
「ここ、始めるまでは私、軍人やってたのよ」
「…そんな気がしたぜ。客、軍人多いしな。特に俺に付いてる客はさ」
「だって、アナタ、新兵卒だった頃の教官にそっくりなんですもの。バイルシュミット教官?」
それにぴくりとギルベルトは眉を吊り上げた。
「…他人の空似だろ。そういうことにしとけ、アルベルト」
「ふふ、懐かしい。了解」
オーナーはにっこりと笑う。もう随分と昔、扱きがきつい訓練に弱音を吐かずに付いて来た教え子の一人だ。可愛がってやった(先生と生徒的な常識の範疇で)ことを思い出し、プロイセンは息を吐く。退役したのは知らなかったし、まさか、こんな女装したSMクラブのオーナーが元教え子だと気づくか、気づく訳がねぇ。
「…取り合えず、予約はもう入れないでくれ。そろそろ、バイトの内容が弟にバレそうなんだ」
ギルベルトは息を吐く。
「弟さんって、金髪の背の高い?」
「…ああ」
「…解ったわ。教官の頼みでは仕方がないわね。でも、偶には顔を見せて頂戴」
「…おう。取り合えず予約分はきっちりやるかよ」
そう言って、息をついたところで控え室の電話が鳴った。

「ギル、予約のお客様、一号室に入ったから」
「了解」

受話器を置いて、ギルベルトは皮手袋を身に着け、制帽と鞭を手に取る。

「…さてと、躾の時間だ」

寸分の隙もなく着こなされた軍服。鞭を片手に背筋をピンと伸ばし、カツカツと歩いていくギルベルトを見送り、在りし日の鬼教官の後姿をオーナーは見送り、あの頃と同じようにほうっと息を吐くのだった。





…続く?






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