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「Axis Powers ヘタリア」の二次創作を扱う非公式ファンサイト。
19 . May
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24 . September


ウチの隊長が吸血鬼で、兄さんが一般人体質で悲しくなるぐらいまとも。

ノーマルで嗜好もまともプー萌なのは、きっと俺ぐらいだろうな。






拍手[16回]




「…兄さん」

じりっと距離を詰めてきたドイツに気づきつつも徹夜明け、漸くベッドに潜り込んだ体は重く目蓋まで重い。目を閉じたまま、プロイセンが気配を伺っているとベッドのスプリングが軋む。髪を撫でられ、耳の後ろを撫でる指は酷く、冷たい。シーツがずらされ、パジャマの襟ぐりがぐいっと引っ張られる。何か反応しないとと鈍い頭で思うが、体が動かない。
(…あー、そういや、ここんとこ家に帰れてなかったから、ルッツに食事させてなかったな…)
そう思った途端、首の付け根に突き刺さる痛みに一瞬、体が跳ね上がる。馬乗りに跨ったドイツがハッと獣染みた吐息を零し、溢れ出した赤を啜る。何の因果か、弟は吸血鬼だ。普段は血など吸わずとも、古の伝承とは違い十字架も大蒜も、太陽の光を浴びても平気だが、生理と言うものがある様で、月が満ちると異様に血を欲するようになる。他人様に迷惑をかけてはいけないと自分の血を与えるようになってから、かなりの年月が過ぎ、昔と違い今では簡単に輸血用の血液が手に入るようになったものの、弟は何故か自分の血に固執している。
「あなたの血が一番、美味だ」
唇をきれいに舐めた弟が恍惚に融けた青でそう言うのは毎度のことだ。有り難いことに自分は体は頑丈、病院や薬には縁のない体故に、これを輸血だと思えば吸血というおぞましい行為も多少は目を瞑れたが、ひとつ納得いかないことがある。血を吸うなら別に手首からでもいいはずだが、いつもドイツは首筋を噛む。何度も噛まれた傷口は既に痣のようになってしまい、外では襟のないシャツなど着れなくなってしまった。それに文句を言えば、弟はただ、目を細め、笑うのだ。
「…っツ」
皮膚が裂ける。そこから、詰まっていた赤が溢れる。甘噛みするように牙を突き立てられ、底に落ちそうになっていた意識が浮上する。それと同時に感じる眩暈と痺れ。それよりも痛みが勝る。残念なことにこの背徳的な行為に興奮も出来なければ、性的な何かを感じることもない。性器を直接触られる方がクるし、唇にキスをされる方が昂ぶる。つくづく、まともと言うか正常だよな…俺。…取りとめもないことを思いながら、顔を顰める。…生温かい舌が溢れた赤を掬う。次第に行為に没頭し、興奮して、箍が外れかけてくるのが解る。それもそうだ。腹が減ってるのに、食わせてやらなかった。…でも、限界がある。

 ガリッ

新たに皮膚が裂けるのと同時に反射で拳を振るう。加減はした。ゴッといい音がしたが、痛さは自分の方が勝る。「痛い」と言葉を零したドイツをプロイセンは真下から睨んだ。
「痛ぇんだよ。何度も噛むな」
「…悪かった。でも、殴ることはないと思うが」
「教育的指導だ。お前、何度言っても、訊かないだろうが」
「仕方がないだろう。あなたの血が美味過ぎるんだ」
首を伝う血を指で掬い、舌先で味わうドイツは月明かり差し込む部屋でうっとりと笑う。それにプロイセンは目を細めた。
「普通にしょっぱくて、鉄錆臭いとしか思えねぇけどな」
水のようにさらりとしている訳ではなく、どこか粘着質なそれはどう見ても飲むシロモノでも、舐めるモノでもない。
「兄さんの血は極上のエーデルフォイレみたいだ」
まさか、己のしょっぱい血を貴腐ワインに例えられるとは。プロイセンは眉を寄せた。
「…赤じゃねぇんだな」
「兄さんの血は赤ではないな。それに俺は、ワインは白が好きだ」
「俺は赤も好きだけどな。…ってか、今日はこれぐらいにしろ。あんまり吸われると、仕事に差し支える」
「…ja 噛まないから、舐めてもいいか。もったいない」
「…仕方ねぇな。本当に噛むなよ」
傷口は赤黒く変色し、明日はいつも以上にネクタイを上に締めなければならないことに、溜息を吐いて、プロイセンは首筋を晒した。

 

 

…俺得。エロスのかけらもねぇ、残念な兄さんでした。






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