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「Axis Powers ヘタリア」の二次創作を扱う非公式ファンサイト。
20 . May
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01 . January


改めまして、あけましておめでとうございます。
新年一発目は、犬+猫とご主人様達です。

本家クリスマスネタその後な感じです。







拍手[26回]





「寒ぃ」

カーテンを開け、外を見やれば例年稀に見る大雪。視界はホワイトアウト。1メートル先も見えない。冷気に体を震わせ、カーテンを閉める。30日の未明から降り出した雪に交通機関は既に麻痺状態。大晦日、元旦はニューイヤーを祝うべく親戚一同ドイツ宅に大集結し、大騒ぎするのが慣例となっていたのだが「欠席」を知らせる電話やメールが届き、今年はドイツとプロイセンふたりきりで年越しになりそうだった。
いつもは準備に追われ、あたふたと忙しいドイツは今年はどこかほっとしたような顔をして、ソファーで本を読んでいる。やっと休みらしい休みを満喫出来ているようだ。クリスマスは何と言うか尋常じゃないくらいに忙しかった。色々と思い出すとプロイセンもぐったりとしてきて、足元に擦り寄ってきた白猫…ヴァイスを抱き上げると、暖炉の前に敷かれたラグの上に腰を下ろす。ヴァイスを膝に背を撫で、片割れを探せば、その片割れの黒猫はドイツの傍らに腰を下ろし、こちらを見ていた。

「シュヴァルツ、来いよ」

手招けば、あっさりとシュヴァルツはプロイセンの元へとやって来る。それに「いいな」と言う顔でこちらを見つめる犬たちに気付いて、プロイセンは犬たちを呼ぶとプロイセンの周りはちょっとしたハーレム状態になった。

「触り心地が俺好み」

背中に回ったベルリッツに凭れ、ぴとりと脇に寄り添ったアスターとブラッキーの頭を撫でてやり、膝の上の猫二匹の顎を擽り、冷えた体の暖を取る。動物の高い体温は心地よく、寒い冬には持ってこいだ。こまめにブラッシングされた毛皮の触り心地も最高。言うことがない。ずるりと頭を滑らせ、ベルリッツに頭を凭せ、程良い暖かさにプロイセンの目蓋がうとうとと落ちる。それを本から顔を上げたドイツは物言いたげに見やった。

「………」

猫二匹は前からプロイセンが飼っていたので、プロイセンに懐いているのは解る。飼い犬の三匹は自分を主人だと尊重しているが、プロイセンが訳隔てなく可愛がっている所為もあるがプロイセンにとても懐いている。ベルリッツはプロイセンが体調を度々崩すことも多いこともあって、プロイセンを守ってやらねばと思っているようなところがある。喧嘩をすれば、プロイセンに非があっても必ずプロイセンの味方に付く。他の二匹もじっと責めてはいないのだろうが、許してやれと言った目をして自分を見つめてくる。その度に遣る瀬無い気持ちになるのだ。
「…兄さん、眠いなら自分の部屋に戻ったらどうだ?」
本を閉じて、ドイツは立ち上がる。プロイセンを見下ろせば、プロイセンは赤い瞳を瞬かせた。
「…眠くねぇし。…お前とふたりきりの年越しなんて久しぶりだしよ。ここにいる」
可愛いことを言ってくれるのは嬉しいが、猫二匹、犬三匹に囲まれた状態では「ふたりきり」ではないじゃないかと思う。心が狭いのは自分でも重々承知しているのだが、プロイセンを独占したくて仕方がない。

「にゃあ」

不意にヴァイスが小さく鳴く。それにプロイセンの右隣を陣取っていったブラッキーが場所をドイツへと譲る。それにドイツはどうしようかと迷った顔をするのにブラッキーが体をすり寄せて来るのに腰を下ろせば、ドイツに寄り添うようにブラッキーが寝そべった。そして、ドイツの膝にヴァイスは移動してくると有無を言わさず丸くなり、目を閉じてしまった。っそれにどうしようかと思いつつ、丸くなったヴァイスの背を撫でれば、ぐいっとセーターを引き寄せられ、後ろに倒される。衝撃は柔らかい毛皮で和らげられ、長いふさふさとした尾がドイツの鼻先を擽り、離れた。
「温かいのきた」
ごそごそと体を寄せてきたプロイセンにドイツは溜息ひとつ吐いて、引き寄せる。融けそうな赤がドイツを見つめ微笑った。
「…何だ?」
「…ん?、昔はお前が俺にこうやってくっついて来てたよなって思って」
「…そう、だったか?」
「ん。今日みたいに凄い、雪降ってて寒くて寝れなくって、寝返りばっか打ってたらお前が来てよ。「寒くて眠れないんだ。一緒に寝てもいいだろうか?」って、…可愛かったなぁ。…お前」
「…よく、そんな昔の話を覚えてるな」
「何か、嬉しかったから。お前、昔と変わらず温かいよな」
プロイセンが体を捻るので、膝の上にいたシュヴァルツがやりやれと暖炉に近いアスターの傍らに移り、それにドイツの膝にいたヴァイスも用事は済んだとばかりに後に続き、丸くなったシュヴァルツに寄り添うと目を閉じる。


「…兄さん」
「ん?」

名前を呼べば、融ける赤はいっぱいの愛情で満ちて自分を見つめる。もう随分と昔、ランプの薄暗い明かりの中見えたプ赤と同じ色をしている。自分の体がすっぽりとプロイセンの腕に収まるとそれだけで安堵出来た。今はすっかり自分の方が大きくなり、プロイセンの体は自分の腕の中へと収まっている。今、自分が感じている「愛しさ」をあのときのプロイセンも感じていたのだろうか。そう思うとくすぐったいような、照れ臭いような気持ちになって、ドイツは視線を伏せた。

「…何だよ?」
「…キスしても?」
「…キスだけな」

日付の変わったことを知らせる音と同時に唇が重なる。たまらく幸せな年明けにドイツはぎゅうっとプロイセンを抱き締めた腕に力を込める。

「…苦しいって…」
「すまん」
「…ま、いいいけどな。ベッド、行くか?……この雪じゃ、明日も誰も来ないと思うしよ」
「! いいのか!?」

滅多に無いプロイセンからの言葉にドイツは体を起こし、プロイセンを見下ろす。見下ろされたプロイセンは眉を寄せた。

「…そのつもり、だったんだろうが。…お前、ベッドの引き出しに……仕舞ってたじゃねぇか」

プロイセンの言葉にドイツはかあっと顔を赤くした。…僅かな期待を込めて、コンドームの箱とローションのボトルを寝室のサイドテーブルの引き出しに仕舞ったのをプロイセンに見られていたとは思いもしなかった。
「…あなたとふたりきりで、時間が取れるのはその、久しぶりだったし…」
「…俺もだよ。…っあーーーーッ!!恥ずかしいんだよ!!おら、行くぞ!!」
がばりと身を起こしたプロイセンに腕を掴まれ、ドイツはよろめきつつも珍しく感情を押し殺せなかったのか、口元が緩んでいる。それを犬と猫達は見送った。


『お熱いねぇ。…でもま、ホントに世話が焼ける主人どもだぜ』
『まったくだ』
『でもまあ、いいんじゃないですか。仲がいい方がいいですしねぇ』
『そうだよ』
『でも、見ててじれったいですなぁ。ご主人も真っ先に自分を見て欲しいと口にすればいいのに』
『まったくだ。俺らをダシにすんなっての。ま、協力してやったけど、人間ってこんな面倒臭ぇことしなきゃ、愛も囁けねぇのかよ?』
『まあまま。ご主人にはご主人なりの事情や手順があるんでしょうがね』
『そうだな』


猫と犬達は溜息を吐くと、寄り添って丸くなる。小さなアスターが欠伸をひとつ。それにつられたようにベルリッツとブラッキーは欠伸をして目を閉じる。ヴァイスとシュヴァルツも仲良く二匹寄り添い、目を閉じた。

 

 

 






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