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「Axis Powers ヘタリア」の二次創作を扱う非公式ファンサイト。
20 . May
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25 . January



77777番 まあや様 キリバンリクエスト
「プロイセンがドイツの病気か怪我を看病してるお話」

 

…リクエストに添えて…いない自信だけが、あります(をい!)。
苦情受け付けますので、遠慮なくお申し出ください。

リクエスト、お待たせして本当に申し訳ありませんでした。
そして、有難うございました!



※捏造ザクセンさんが出てきます。




 





拍手[28回]




 

「もういい!」

怒りを過分に含んだ赤い目がドイツを睨む。ドイツはそれを見つめ返す。プロイセンはふいっと顔を背け、

「お前なんか知らねぇ!!」

と、一言、吐き捨て、消毒液臭い病室を出て行く。それを見送りドイツは溜息を吐く。それと同時にずきりと右の脇腹が痛む。その脇腹は六時間程前、プロイセンとドイツと上司と地方の巡察中に起こった上司を狙った狙撃事件で負ったものだ。壇上で民衆を前に演説する上司を狙う銃口に真っ先に気付いたのはプロイセンで物も言わず、壇上に駆け上がり、上司に突進し、「伏せろ!!」と怒鳴るのと同時にダン!と銃弾がプロイセンの髪を僅かに掠めていく。壇上にSPが駆け寄り、上司を囲い下りていくのは瞬く間のことだった。場内は突然の出来事にパニックになった逃げ惑う人々が一斉に入り口へと詰め寄る。プロイセンは今だ壇上に居て、狙撃場所を確認するように赤い目を巡らせている。ドイツは上司の無事を確認すると壇上へと駆け上がった。入り口に向かい殺到する人々の間、二階席から何かが光るのが見えた。明らかにそれはプロイセンを狙っていた。

「兄さん、危ない!」

ダンっと腹部を熱いものが貫く。一瞬、何が起こったのか解らずドイツは瞬いて、それと同時にかくりと膝が落とす。プロイセンの赤が驚愕に見開かれるのと同時に至近距離で、素早く安全装置を外しトリガーを引き、弾が放たれる音が響いた。
「チッ、距離が届かねぇ!クソが!」
舌打ちが耳に遠い。
「二階座席のC1エリアだ、絶対に逃がすな!!」
プロイセンの怒鳴り声が響く。じくりと腹が熱い。

「ヴェスト!しっかりしろ!!」

プロイセンはドイツの着ていたスーツを脱がし、自分のスーツを脱ぎ、その場で着ていたYシャツを脱ぎ、裂くとドイツの腹に巻きつけた。そこに担架が運ばれてくる。

「ヴェスト!」

自分を呼ぶ声だけが、耳に聞こえる。「大丈夫だ」とそう言いたかったが、ぶつりとそこでドイツの意識は途切れた。自分の意識が無い間に銃弾を取り除く手術が行われたらしい。気がついた時には白い天井が見えた。そして、ベッドの脇、祈るように指を組み、自分を見つめる赤と視線が交わった。

「…に、い、さん?」
「この、馬鹿!」

安堵に一瞬緩んだ赤が瞬時に苛烈な色に変わる。目を開けた瞬間に怒鳴られるとは、ドイツは思いもしなかった。プロイセンは自分に対して今までに見たことが無いほどに腹を立てて、怒っていた。
「何、考えてるんだ、てめぇは、のこのこ、壇上に上がって来てんじゃねぇよ!」
「…だって、兄さんが、」
「だって、じゃねぇ!お前、自分がどんな立場にあるのか全然、解ってねぇだろ。お前は「ドイツ」で「国家」そのものなんだぞ?発砲の危険がある場所に出てくるなんて何、考えてんだ!何で、上司と会場を速やかに出なかった!」
「兄さんが残ったからだ。狙撃は上司を狙ったものだったし、まさか、あなたを狙って狙撃してくるなんて思わなかったんだ」
「俺のことなんか、気にしてんじゃねぇよ!上司を気にしろ!」
「上司にはSPが付いていたし、俺がいなくても問題ないと判断した。状況を把握しておきたかったし、あなたに怪我がないかと心配だったんだ」
「俺の心配なんかしなくていい。それより、何で、俺を庇った」
赤に睨まれ、ドイツは口を噤んだ。自分を庇ったことに対して、プロイセンは腹を立てているらしい。ドイツは息を吐いた。
「タイミング的に自分が盾になった方が早いと判断した」
「あ?不戯けんなよ、誰が盾になってくれなんて言った?盾になるのは俺なんだよ。お前は守られてればいいんだ。余計なことはするな!」
「それは、納得出来ない」
ずっと今まで守られる立場だった。でも、体も成長し、今や目の前のプロイセンよりも体の厚みはあるし、鍛えてきたつもりだ。それは目の前にいる危なっかしいひとを守りたかったからに他ならない。なのに、それを余計なことだと、プロイセンは言う。ドイツは眉を寄せた。
「俺の勝手な判断だ。あなたを庇いたかったから庇った。それの何がいけないんだ?」
そう言葉を返せば、プロイセンの白い頬に血が上ってゆく。それをドイツは見つめる。どうして、プロイセンがこれほどまでに自分に対して怒っているのかまったく理解出来ない。

 子どものような癇癪を起こしてプロイセンが部屋を出て行き、ドイツはどうしてプロイセンが怒っていたのかを考えるが、見当も付かない。どうしたら、許してくれるだろうと考えるが、自分がしたことが悪いことだとはドイツには思えなかった。

 

 

 

 血が頭に昇った状態で病室を飛び出し、プロイセンは息を吐く。…上司に連絡を入れなければと思うが、上手く頭が回らない。
目の前で、青が見開き、苦痛に歪んだ瞬間、目の前が真っ暗になった。瞬間、自分の中で何かがキレた。場内で発砲するなんて、何て、自分は馬鹿をやったのだ。下手すれば逃げる市民に怪我をさせていたかもしれない。自分の頭を打ち抜きたくなるほどに失態を犯した。プロイセンはガッと額を壁にぶつけると息を吐いた。
「…あー、上司に連絡、入れねぇと…」
そう思うが先の光景がフラッシュバックする。プロイセンはその場に蹲り頭を抱えた。自分の不手際を棚に上げ、頭に血が上って、怪我人相手に八つ当たりもいいような言葉を投げつけてしまった。自分の不甲斐無さが許せなかったし、ドイツに怪我を負わせてしまった。…一体、何のために亡国になった今も自分は存在しているのだ?それは、ドイツを守るためだ。それなのに、ドイツに怪我を負わせた。…自分は何をしてるのだと自責の念が大きくなる。吐き出すように息を吐けば、目の前に影が立つ。それに顔を上げれば、ずいっと紙コップが突き出された。

「何、やってんだ?…まあ、これでも飲んで、落ち着け」

「…ザクセン」
長い付き合いでいがみ合っても来たし、この間までは愚痴りながら一緒に金にならない仕事に励んだ青年がそこには立っていた。思えば、ここはザクセンの管轄の地区だ。プロイセンは「ダンケ」と小さく言葉を返し、湯気の立つコーヒーのカップを受け取った。
「ドイツは?」
「目覚ました。銃弾は臓器を外れてたし、二、三日様子を見て大丈夫なら、退院出来るって」
「そっか。大したことなくて良かったよ。でもまあ、悪かったな。ウチの警備が不備出して、ドイツにもお前にも迷惑掛けたな」
「いや、…十分にお前んとこの警備班とウチと念入りに打ち合わせはしてたし、入場を見てたがこれといって怪しい奴も、手荷物チェックも引っかかる奴居なかったしよ。油断してたぜ」
「…だな。これと言って、予告も無かったしな。でもまあ、ドイツには悪いが、上司にも市民にも怪我が無くて良かったよ。…あ、狙撃犯は確保して、連邦警察に引渡し済みだ」
「…そっか。…あー、そういや、ウチの上司は?」
「予定を全てキャンセルして、公邸に戻ったよ。ドイツを心配してた。…ってか、動機はまだ吐いてないけど、狙撃犯は旧東側の人間らしい。大方、格差の不満からの凶行で間違いないだろうってさ」
「…あー…」
プロイセンは言葉を切る。ザクセンは手にしていたコーヒーを啜った。
「お前を狙ったのは、失敗した腹いせだとよ。…あんま、凹むなよ。お前が悪いんじゃないし」
「…俺が悪い。…もっと、早く気付いてれば、ヴェストに怪我なんてさせなかった」
思い出しても肝が冷える。悪い夢を見ているようだった。大事なひとを二度も…一度目は敬愛していた上司を、次は最愛の弟を目の前で撃たれる場面を自分は目にしなければならないのだ。…プロイセンは逃がすように詰めた息を吐く。
「あんま、思い詰めるなよ。お前にとってドイツが一番、自分は二の次なんだろうが、ドイツにとっては、お前が一番。自分は二の次なんだから」
青ざめたプロイセンの顔を見やり、ザクセンがそう言えば、プロイセンは訝しげに顔を上げ、ザクセンを見やった。
「は?」
「何?」
「何って、聞きたいのは俺だったんだ!何で、ドイツの中で俺が一番なんだ?自身が一番だろ」
「それは、ドイツに聞きば?俺に訊くな。ドイツに俺が心配してたって伝えといて。今日はもう遅いし、明日、改めて見舞いに来るよ」

「え?、あ、おい、ちょっと、待て!」

ザクセンはヒラヒラと手を振って、病院の裏口へと向かう。それを見送り、プロイセンは思い切り眉を寄せると、すっかり冷えて冷たくなったコーヒーを啜った。

 

 


公邸の上司にドイツが目を覚ましたことを報告し、それに労いの言葉とドイツの傍に就いているように言われ、プロイセンは重い足でドイツがいる病室へと戻る。必要なものは全てザクセンが揃えてくれたらしい。病院に近いホテルの一室が準備してあると部下から報告を受け、気遣いに礼を言わないとそう思いながら、病室の前に立つ。八つ当たりもいい感じに、怪我人相手に当り散らして癇癪起こして飛び出して来たので、何となく戻るに戻れない。それでも、ホテルで休む気にはなれず、傍にいたいと思う。でも、顔を見ればまた、責める言葉しか出てこない気がする。プロイセンは迷うように病室の前に立ち尽くす。

「…兄さん、そこにいるんだろう?…廊下は寒い。中に入ってくれ」

中から良く通るドイツの声。プロイセンは肩を震わせ、むっと眉を寄せる。…いつから、ドイツは自分がここにいると気付いていたのか…。プロイセンはドアを開いた。
「…具合は?」
「鎮痛剤が効いてるのか、痛くはない。…少し、眠いが」
「…鎮痛剤の所為だろ」
プロイセンは椅子を引き寄せると、腰を下ろす。それをドイツはじっと見つめた。プロイセンは視線を逸らし、むすりと押し黙る。それにドイツは暫し迷うように口を開いた。
「…兄さん、先の話なんだが、」
「…何だよ」
素っ気無くそう返せば、ドイツは小さく息を吐いた。
「俺は兄さんが、こうならなくて良かったって思ってる」
「何でだよ?」
また怒鳴りそうになるのを押さえ、プロイセンはドイツを見やる。
「そうなったら、きっと俺自身が辛いから。だから、これは俺の自己満足なんだ。あなたが気に病むことは何も無い」
凪いで微笑する青にプロイセンは眉を寄せた。本当にそう思っているのだろう。ドイツは嘘は吐かないし、自分に告げる言葉はドイツ自身が本当に心からそう思って自分に言う言葉なのだ。
「…やっぱり、お前は馬鹿だ。…俺だって、お前と同じだ。お前が目の前で傷つくとこなんか、見たくねぇんだよ。自分の身を切られる方が耐えられる」
自分が傷つくことよりも、ドイツが傷つくほうが耐えられない。ドイツが傷つけば、その倍の痛みがこの身を苦しめる。…それでも、ドイツがそう思ってくれていることは素直に嬉しいと思う。
「…そうか」
ドイツは小さく笑った。
「そうだ。だから、二度と同じこと、するなよ」
その笑いにプロイセンは念を押して、言葉を重ねた。
「…それは、了承しかねるな」
「了承しろ、馬鹿」
まったく、困った弟だ。…プロイセンはドイツの頬を撫でると、こつんと額を合わせた。

「…ごめんな。…ありがとう。…早く良くなれよ」
「…ああ。…その、心配かけてすまなかった」

ドイツの言葉にプロイセンは赤を緩ませると、捲れたブランケットをドイツの肩まで引き上げた。
「寝ろ。そばに居てやるからよ」
「…ああ」
ドイツが目を閉じる。やがて、聴こえ始めた寝息にプロイセンはドイツの前髪を梳くと、額に口付けを落とした。

 

 


退院までの数日、プロイセンはずっとドイツの傍に付き添った。元が病院なこともあってか、看病は手馴れていて、医療行為以外はプロイセンのお陰でドイツは不自由なく過ごすことが出来たのだが…。

「あーん?」

差し出されたフォークを前にドイツは困った顔をして、プロイセンを見つめる。プロイセンはそれを不思議そうな顔で見返し、もう一度、ドイツに口を開けるように促した。
「兄さん、怪我をしたのは手ではないし、食べさせてもらわなくてもちゃんと自分で食べれる」
「いいじゃやねぇかよ。お前がこんなんなるとかこの先、ないかもしれないしってか、絶対、ねぇし。…一度、やってみたかったんだよ。口開けろよ」
にこりと笑われ、「ん」と突き出されたうさぎの形にカットされた林檎にドイツは眉を寄せた。今まで、食事の介添えなどしてもらったことはないし、いい年をしてと思うととても気恥ずかしい。それが解っているのか解っていないのか、無邪気な笑みを浮かべてプロイセンは「あーん」と言ってくる。
「…兄さん」
「何だよ」
「…恥ずかしい。自分で食べる」
フォークを奪おうとすれば、プロイセンの手は容易に逃げる。そして、機嫌を損ねたように口を尖らせた。
「兄さん」
「お前のために林檎、剥いてやったのに食えないってのかよ」
じっと赤が責めるようにドイツを見つめる。それにドイツはうっと息を詰まらせた。
「…いや、そうじゃなくて」
拗ねたプロイセンの機嫌を取るのは後が大変だ。…ドイツは羞恥と後の面倒を秤に掛ける。
「…兄さん、食べさせて欲しい」
かなり、今回のことで怒らせたし、心配をかけたことも思えば、これぐらいの我儘は可愛い。それに、こうして始終一緒にプロイセンと過ごすのも久しぶりで、甘えたい気分になってきた。
「最初から、そう言えっての!…あーん?」
拗ねていた口があっさり緩む。突き出された林檎を齧れば、甘酸っぱい果汁が口の中に広がった。
「美味いか?」
「…ああ。美味しい」
頷けば嬉しそうにプロイセンは笑う。二口目を口にしようと開いたところで、ドアが開いた。

「ドイツ、傷の具合どうだ?」

ノックもなしに入ってきたのはザクセンで。ドイツは思わず固まる。フォークを差し出したまプロイセンが振り返った。
「大分、いいぜ。明日には退院出来るってよ」
「そっか。それは、良かったな。…ってか、何、やってんだ?」
固まったドイツと口元に食べかけの林檎を突き出したままのプロイセンをザクセンは温い目で見やった。
「林檎、食わせてやってんだよ。お前も食うか?」
「食う。昨日、俺が持ってきたヤツだろ」
「うん。これ、ヘッセンとこの林檎だろ」
「良く解ったな。ドイツにって持ってきてくれたんだよ。皆、ドイツを心配してたぞ」
プロイセンが差し出してきた皿から、うさぎを一羽手に取るとザクセンは咀嚼する。暫く固まっていたドイツは我に返った。
「…もう、皆に伝わってるのか?」
「連絡網、早いからなぁ。…あ、プロイセン、お前、暫く、背後には気をつけろよ。バイエルンが「プロイセン、貴様が付いていながら、ドイツに怪我させるとは何事だ!」…って、すげー、剣幕で打ち切れたからな」
「…メンドクセ」
プロイセンはげんなりした顔で呟く。それに、ドイツは眉を下げた。
「怪我は兄さんの所為ではない。俺から、バイエルンには連絡を入れておこう。…皆には心配を掛けてすまなかったな。ザクセンには本当に迷惑をかけた」
「何、言ってんだよ。お兄さんはプロイセンだけじゃないんだから、もっと頼ってくれていいって。てか、俺の方こそ、お前には今回のことは謝らないとだ」
「いや、謝ってもらうことはない。上司は兄さんのお陰で無事だったし、狙撃犯もちゃんと捕まったし…。この怪我は俺の責任だから」
申し訳なさそうにそう言ってくるドイツの頭をわしわしとザクセンは撫でる。それに、ドイツはびっくりしたように目を見開いた。
「プロイセンに育てれられたにも関わらず、お前、ホント、いい子に育ったよな。お兄ちゃんは嬉しいよ」
「は?俺に育てられたにも関わらずって、何だ!」
ザクセンの言葉にプロイセンが牙を剥く。それにザクセンは肩を竦めた。
「いや、だってそうだろ?お前と来たら、俺ん家に土足で入ってくるわ、俺のものー!とか言って勝手に色々奪っていくわで、傍若無人を絵に描いたらお前になるって感じだし。ホント、お前にドイツを任せて大丈夫かって、何度思ったか…」
「傍若無人で悪かったな!でも、ちゃんと育っただろうが!」
「うん。反面教師になったのが良かったのかもな」
「ザクセン、てめぇ、俺に喧嘩売ってんのか!」
「兄さん、ザクセン、ここは病院だぞ。やめてくれ!」
掴み掛からんばかりのプロイセンにドイツは声を掛ける。それにぶすりと頬を膨らませる。プロイセンを見やり、ザクセンは皿から二羽目のうさぎを手に取った。
「…でもま、プロイセンも本調子に戻ったみたいで俺もほっとしたよ」
「あ?」
「ドイツのことでガラにも無く、落ち込んでたからねぇ。ちょっと前のお前を思い出したわ」
「思い出すな!」
「ちょっと前?」
ドイツが尋ねれば、うさぎを咀嚼し飲み込んだザクセンが目を細め笑った。
「昔も今も、変わらずにプロイセンの一番はドイツ、お前なんだなって思って。…俺はやっぱり自分が一番になっちゃうからな、お前らの関係が少し、羨ましいけど…ってか、いちゃつくなら、家帰ってやれ」
「うっせ!」
それにプロイセンが怒鳴る。

「じゃあ、俺、仕事もあるし、帰るよ。じゃあな」

三羽目のうさぎを咥え、四羽目を掻っ攫って、ザクセンは部屋を出て行く。それを見送り、プロイセンが悪態を吐く。

「何しに来たんだ、あいつは…」

「…多分、見舞いだろう」
「…林檎、ほとんどあいつが食ってった。ムカつく」
六等分された林檎は一羽しか残っていない。ドイツはプロイセンの手を取り、握ったままのフォークに刺さっていた林檎の口にする。
「兄さん」
咀嚼し終え、プロイセンを見つめれば、赤は先程までのことなど忘れてしまったように見つめてくる。
「林檎」
「おう」
差し出される最後の一羽目。…もう甘えられる年ではないし、寧ろ、甘やかしたいと思っている相手にたまには甘えてみるのも悪くはないかと思う。…最後の欠片を咀嚼し、飲み込んでドイツはプロイセンの腕を掴んだ。

「…林檎もいいが、兄さんが食べたい」
「…治ったらな」

色よい返事と共に、口付けが落ちた。

 

 


オワレ!





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