忍者ブログ
「Axis Powers ヘタリア」の二次創作を扱う非公式ファンサイト。
19 . May
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

11 . February


爺誕!…間に合った!

ついでに日独交流150周年のネタもぶち込んでみました。記念切手も勢いで台紙付のをネットで衝動買いしてみたりしたぜ。ケセセ!

普日っぽくなったが、全力で日普だと言い張るぜ。

参考 独大使館 日独交流150周年特設HP 
こっそりと応援。ロゴがイカしてる。センスいいぜ。


暮古堂様
ご指摘、有難うございます。…確認はしてるんですが、見落としてしまうので助かります。また、見かけましたらご指摘くださいませ。






拍手[18回]



 

「師匠、師匠」

…って、小さいのがちょこまかと俺の後ろを付いて来るのが、親父が池で飼ってった鴨の雛のようで可愛くて、慕われるのは正直、…なんつーか、自分が他国にあんま良く思われてないことは知ってたし、外交ってのは上辺だけのお付き合いで水面下では腹の探りあいって言うのが日常で、そんな中、遠い東洋の島国の俺より随分と年上で、そうは見えない好奇心旺盛な童顔のお前に懐かれるのは、純粋に頼られるのは嬉しかった。…と、言うか、弟が立派に国になって、俺は役目を終えたなって、何も教えてやることも出来なくなって、心にぽっかりと穴が空いたのを埋めてくれたのが、お前だったんだと思う。俺もこの束の間のごっこ遊びが楽しかったし、「師匠」なんて呼ばれることなどこの先、お前以外にはないだろうなって思った。

 後、何年かしたら、俺はこの世界から消えてなくなる。

漠然と、弟に出会った時からそう思って生きてきたから、一日一日が大事に思えるようになった。自分に好意を抱いてくれてる奴に、消えてしまっても時折、あんな国が昔、居たなって、思い出してもらって、ドイツの礎を造ったのは俺だって、後に歴史書に名前が残ったら、それだけで十分、俺が築いてきた歴史には意味があったと後の歴史学者が俺様を褒めて讃えてくれば満足だ。…なんと言うか、楽観的かつ、老境に入った年寄りみたいな気持ちで、俺は暢気に親父がいつ迎えに来るだろうかとちょっとその日が来るのを楽しみにしてたりしたんだが、思わぬ未練のお陰で親父が待ってる天国に逝けなくなってしまった。

 150年って、短いのか、長いのか?

俺も随分と長く生きてるから、その年月が短いのか長いのかなんて、解らない。…でもまあ、そんなに経ったのかって思う。…最初の頃は和気藹々と俺たち意外に仲良くやってたよな。憲法の草案考えてやったりとか、軍部編成の仕方とか規則とか教えてやったりよ。…まあ、色々あって敵対することになっちまったが、そのとき、お前が書いてきた手紙、まだ持ってるぜ。

 


こんな手紙を、師匠であるあなたに差し上げたくはありませんでした。でも、私も国として、引けないものがあります。

 師匠は私に自分らしくあれ。…と、いつだか、仰ってくださいました。あなたに刃先を向けることが正しいことなのか、自分らしくあることなのか、私は自問しています。でも、このまま愚図愚図していては、私は「私」でいられなくなる。私は他国の方々に見下されること無く対等でありたいと思うし、出来れば争うことなくいられれば良いと思う。…でも、私の思うようにはどうにも上手く行かないようです。

 許して下さらなくて構いません。ただ、あなたに自分の気持ちを知って欲しかった。私は私の道を歩いてゆきます。その道が間違いでも構いません。私が選んだこと。後悔は致しません。
こんなちっぽけな東洋の小さな島国にあなたは本当に打算なしに優しくして下さった。そのお陰で、今の私がある。

 お会いしたそのときから、お慕いしておりました。この気持ちはきっと生涯、変わることはないでしょう。今でも、あなたを想うと切なくなります。

 どうか、また、いつの日か、…この世界から争いごとが消え笑える日が来たら、あなたに私の想いを声に告げられる日が来るでしょうか。

 今まで、有難うございました。
さようなら。どうか、お元気で。

 


 

 初めてもらった恋文だってのによ、ちょっと、悲しかったな。この手紙を受け取ったのは。でもまあ、仕方がないよなって思った。自国の利益を優先するのは国として当たり前ことだからな。でも、捕虜になった弟の国民を大事に扱ってくれて有難うな。帰ってきた奴から色々と話を聞いた。捕虜だって言うのに、差別するでもなく皆、公平に親切にしてくれたんだってな。お前の国が好きになって、お前のところに行っちまった奴もいたぜ。お前の国民は押しが弱いし、控えめ過ぎるくらいだけど、善良で真面目でいい奴が多いよな。だから、俺、お前のこと好きなんだろうな。だからさ、また、会えた、今度は弟の友人としてお前に再会出来たときは本当に嬉しかった。…それも、ほんの束の間だったけどよ、イタリアちゃんとヴェストとお前と、それから坊ちゃんとハンガリーとよ、一緒にクリスマス祝ったりして、楽しかったな。…ま、その後のことは、俺も思い出したくねぇな。お前も思い出したくねぇだろうからこの辺にしとくぜ。

 敗戦から、俺とヴェストは別々の国になって、お前はアメリカの統治下で頑張ってたな。そして、あっと言う間にヴェストを抜いて、世界第二位の経済大国になった。流石、俺様の弟子だぜ。…なのに師匠の俺はなぁ…耄碌したもんだぜ。…ま、それは置いといてよ。花火、観たぜ。壁の上を上がる花火。きれいだったなぁ。後から、お前んとこの花火師が打ち上げてくれたんだって知ったぜ。

「ベルリンの地上には壁はありますが、空に壁はありません。日本の花火は、どこから見ても同じように見えます。西のお方も、東のお方も、楽しんで下さい」

西側の新聞の一面をお前んとこの花火師の言葉が飾ってた。その言葉に随分救われた。壁を造って隔てたのは俺だったから、なんつーか、何だ、もう戻れないって悲観的になってたんだよな。再統一は悲願だったけど、どこかで諦めてた。もう、どっぷりと俺の頭は赤い色で染まってたし、西側のものは体が受け付けない感じになってたからよ。だから、壁が壊れて、ひとつになったとき、西側のものが急速に俺の中に流れ込んできて、熱出すわ、吐くわ、寝込むわで…慣れるまで、時間掛かったぜ。ヴェストにはホントにいらねぇ心配掛けたな。…あ、これはヴェストには黙っててくれな。言うと、またいらない心配しそうだからよ。

 お前という国と付き合いをはじめたのが、150年前。

お前と最初に条約を結んだ俺と言う国は今は無くなっちまったけど、弟がお前と仲良くやってる。嬉しいぜ。ずっと、仲良くしてやってくれよ。…って、これが言いたかったんだけどよ、回りくどくなっちまったな。十年先、二十年先、その先もずっと共にあれたらいいよな。


「…まあ、何だ。ぐだぐだ語っちまったが、…俺様とヴェストとお前の付き合いが節目の年のお祝いと、今日誕生日だろ。…有難う。そして、誕生日おめでとう。これからもよろしくな!」

 

燗を二、三本空けて、すっかりほろ酔い気分で頬を赤く染めたプロイセンがへにゃりと笑う。それに日本はぱちくりと目を瞬いて、銚子を下げようと伸ばした手を彷徨わせた。
「…覚えてたんですか?」
「どっちが、覚えてた?」
「お会いしてから、150年と言うことです」
「んー。100年の時には祝うどころじゃなかったしな。国交も回復してなかったしよ。そんなことも忘れるぐらい俺は何かもういっぱいいっぱいで壁、造った年だったし…、東西冷え切ってたしな。…お前とよ、条約結んだ1月24日は俺にとっては特別で大事な日だ。今も大好き親父の誕生日なんだ。その日にお前が友達になったのが何か感慨深くてよ。だから、こうやってまたひとつの国になって、弟とお前と、断絶してた期間もあったけど、また仲良くできるのが嬉しいぜ」
上機嫌にプロイセンは笑う。それに日本は胸が熱くなるのを押さえ、笑んだ。
「…嬉しいです。私もあなたとこうして、また、一緒にいることが出来て」
日本は彷徨わせていた手を卓袱台の上に投げ出されたプロイセンの手の甲に重ねた。それにプロイセンは赤を細めた。
「…お前に会ってなきゃ、親父のところに逝けたのによ。何か、お前が危なっかしいから、そばにいてやらねぇとって思ったら、逝き損ねたぜ」
「そうなって、良かったって言ったら、怒りますか?」
黒い瞳が問う。それにプロイセンは首を振った。
「怒らねぇよ」
重ねられた手を返して、プロイセンは日本の手を握った。
「…ちっせー手だな」
「師匠の手が大きいんですよ」
未だに硬い腱胼胝の残るプロイセンの手のひらを日本は自分の頬に触れさせた。

「どうか、次の五十年、百年、その未来も、ずっと一緒にいてくださいね」
「お前が嫌だっていっても、師匠面してそばにいてやるぜ」

ケセセと笑ったプロイセンがそっと、頬を引き寄せる。それに日本は目を閉じた。

 

 

 






PR
NAME
TITLE
TEXT COLOR
MAIL
URL
COMMENT
PASS   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
Powered by NINJA BLOG  Designed by PLP
忍者ブログ / [PR]