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「Axis Powers ヘタリア」の二次創作を扱う非公式ファンサイト。
19 . May
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12 . April



兄さんと姉さんと珍しく常識人な弟のとある夜のひとこま。









拍手[19回]





「はー、風呂上りのビールは最高だな!」
「言えてるぜ!うめー!!」

ぐびりと瓶を煽り、マリアとギルベルトは顔を合わせ、にやりと男女の差は若干あるものの素分違わぬ顔で笑う。…双子の彼らは未だに一緒に風呂に入り、一緒に寝ることもあるほどに仲がいい。…しかし、いい年(実年齢800歳超え)している上に、異性でもあり、色々と問題があるんじゃないかとルートヴィッヒは思い、度々、苦言を呈するのだが、既にそれが当たり前と成り果てて、ん百年ともなれば、「細かいこと、気にしてっと禿るぞ?」などと返されるか、斜め上に「一緒に入りたいのかよ?可愛い奴め!」…などと、いわれる始末。顔も似ていれば、性格まで良く似ている。実際、物言わずとも通じ合う部分が多く、二人が本気を出せば、世界を制しそうな勢いだ。それぐらい馬が合うというか、体が違うだけでまったく同一。普通ならば同属嫌悪になる確率のほうが高いのだろうが、余りにも似すぎている所為でナルシスト…とまではいかないが、互いに信を置き、認め合いすぎるほどに認め合っていた。

「泡、付いてるぞ。ギル」
「ん?どこだ?」
「そこじゃねって」

全然違うところを撫でるギルベルトの指に、マリアが見かねたのかぐいっと首のタオルを引き寄せ、唇の泡をぺろりと舐める。それにルートヴィッヒは思わず、グラスに罅を入れてしまった。
「おー、ダンケ」
「いいってことよ。…ってか、ルッツ、グラス、罅入ってんぞ?」
「もったいねぇ。漏れてるじゃねぇか」
何事もなかったかのように視線を向けてきたマリアとギルベルトにルートヴィッヒはグラスを置いて、怒鳴る。
「…兄さん、姉さん、前々から言ってきてるんだが、あなたたちは兄妹なんだぞ!そう言う行為は謹んでくれ!!」
ダンっとテーブルを叩いたルートヴィッヒにギルベルトとマリアはきょとんとした顔でルートヴィッヒを見やり、お互いを見やった。
「何か、ルッツが怒るような変なことしたか?」
「いいーや。ビール飲んでただけだろ?」
「だよなぁ。…ルッツ、お前、何、怒ってんだ?」
全然、姉も兄も全然、解っていないらしい。ルートヴィッヒはみしりと眉間に皺を寄せた。
「普通の兄妹はいちいち、口にキスなんかしないだろうが!」
「だから、何だよ?」
だから?…と、来た。ルートヴィッヒはギルベルトを睨んだ。
「だから、やめてくれと言っている!」
「別にいいじゃねぇか。キスくらい、減るもんじゃねぇし。ベロチュウとかは流石にしないぜ。ちょっとした愛情表現だろ」
「だよな。こいつ、口の周り、よく汚すし。拭くもん持ってないときには舐めてやってたし。今のもそんな感じだろ。だって、菊が送ってきた高級ビールだぜ?もったいないだろ」
…論点はそこじゃないだろう!…ルートヴィッヒは思う。
「滅多に飲めないしな。…ってか、お前も口周り、ガツガツ食って良く汚してたじゃねぇか」
「お前程じゃねぇっての!」
アレがちょっとした愛情表現だと?流石にベロチュウまではしないって、当たり前だ。不道徳過ぎる。ルートヴィッヒは更に眉間の皺を増やした。
「兎に角、兄妹は普通キスなんかしない。バッシュやリヒテンを見れば解るだろう!」
理想的な兄と妹の関係を口に出して上げる。それにマリアとギルベルトは顔を合わせた。
「他所は他所。ウチはウチって、前に日本とこで見たドラマで言ってたぜ」
「兄妹の関係なんて、ひとそれぞれだろ。ウチは最初からこうなんだから、仕方なくね?」
「だよなー。小さい頃は食うもんなくて、分け合って食ってたし、寝るところなくて雑魚寝状態だから寒さ凌ぎにくっついて寝てたし」
「今は食べるものにも不自由してないし、寝床もちゃんとしてるだろう!」
言い訳染みた言葉にそう怒鳴れば、ギルベルトは困惑したような顔をした。
「?…何、そんなにお前、怒ってるんだよ?言っとくが、俺、こいつを女だって意識したことねぇし、お前が考えるような不埒なことはしてねぇからな?」
「俺だって、こいつを男だって、思ったことねぇよ。…ってか、有り得ないだろ。自分と同じ顔の奴とセックスなんか出来るかよ。気持ち悪ぃだろ」
「気持ち悪過ぎ」
…何で、この姉、兄は変なところで常識人なクセに日常で有り得ない事をやらかすのかと、ルートヴィッヒは深い溜息を吐く。
「取り合えず、俺の目の前でキスをするのは止めろ」

「「はーい」」

御座なりな返事が返って来る。反省の色は皆無だ。ルートヴィッヒは額を押さえ、深い深い溜息を吐いた。

「ルッツはホント、細かいな。誰に似たんだ?」
「お前だろ」
「俺じゃねって。…ってか、キスぐらい減るもんじゃねぇし。昔、散々、ルッツにもしたやったのになー」
「してやってねぇから、拗ねてんだろ」
「そっか。じゃあ、ルッツにもしてやんねぇとな!」

斜め上にぶっ飛んだ二人に翌朝、酷い目(寝込みを奇襲攻撃)に合わされたルートヴィッヒは眉間の皺をあらん限りに増やし、早朝から兄と姉を叱りつけることになるのだった。






 

 







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