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「Axis Powers ヘタリア」の二次創作を扱う非公式ファンサイト。
19 . May
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05 . February


 とっても可哀相で可愛い…え、別に可愛くはないだろうって?えー、すごくプロイセン君可愛いよ。うさぎさんみたいだし。あの赤い目が潤むと宝石みたいにキラキラしてて、すごくきれいなんだよ。…何でそんなことを知ってるのかって?…それは僕とプロイセン君の秘密だよ。笑ってるプロイセン君も好きだけど泣いてるプロイセン君も好きなんだ。もちろん、笑ってる方が好きだよ。一緒にいるとね、何か温かくなるんだ。そんな僕の大好きなプロイセン君に一週間、目隠しで、とある一室でひとりで過ごしてもらうことになったよ。

プロイセン君は寂しがり屋のくせにいつも「一人楽しすぎるぜー!!」とか言ってるけどね。…だから、一日一回、部屋に誰かが訪問することになったんだけど。

制限時間は、一時間。

訪問してきた僕を当てることが出来たなら、プロイセン君の勝ち。
当てられなければ、僕の勝ち。

勝った方の言うことをひとつだけ、どちらかが訊くんだって。…うふふ。僕が勝っちゃうけどね。

 


さて、今日は金曜日だよ。金曜日は僕、ロシア。
ふふっ。…プロイセン君にお願いごと、何、聞いてもらおうかなー。

 


 





拍手[17回]




 
 
 ロシアは部屋の前に立つと、部屋の鍵を開けた。この部屋は外側からしか開けられない。かちゃりとノブをそっと回して、音を立てないようにしてドアを開き、中を伺う。部屋は真っ白な壁紙が張られ、窓がひとつ。同じように白いテーブルと椅子が二脚。部屋の隅にある簡素なベッドは壁紙と同じように白いシーツが張られ、いつも自分が佇む世界に佇んでいるような気がして、ロシアは瞬く。そのベッドの上、プロイセンはいた。

(…寝てるのかな?)

そう思い、ロシアはプロイセンを見やる。黒い目隠しに白いシャツ、黒いズボン。足は素足で寒そうに見えた。シーツの上に同化するように白金に褪せた髪が落ちる。身に着けている黒だけが空間に浮かび上がって見える。真っ直ぐに横たわり、腹部で緩く組まれた指。まるで埋葬される死者のようだとロシアは思い、首を振った。

「…寒ぃ」

突然、声を上げたプロイセンにびくりとロシアの肩が跳ねる。声を発すれば、自分の正体がばれてしまう。ロシアは自分の口を塞ぎ、そっと視線だけをプロイセンへと向けた。

「…この寒さ、覚えがあるぜ。骨まで凍るかと思ったあの場所の寒さだ」

プロイセンの言葉に、頬にびゅうっと吹き付ける風の冷たさを不意に感じて、ロシアはマフラーを引き上げた。

「…今日はお前かよ。ロシア。久しぶりだな」

むくりと起き上がったプロイセンが言う。ロシアは何だか嬉しいのに泣きたくなって、スンと鼻を啜った。
「何で解っちゃうの?」
「最近まで、お前ん家いて、お前の面倒見てやってたのは俺様だろうが。解らないほうがおかしい」
「僕がプロイセン君の面倒、見てたんだよ」
「嘘付け。寒いから一緒に寝てよ…って、駄々捏ねてたのはどこの誰だよ」
プロイセンはベッドから降りると、危なげない足取りでロシアの前まで寄ってきて、腕を伸ばしてきた。ぺたりと触れた手のひらがロシアの腕を撫で、肩を辿り、首、頬を撫でる。
「なあ、外、天気悪いのか?」
「え?…ううん。晴れてるよ」
ひとつだけある部屋の窓からは白い光が差し込み、部屋を明るく照らしていた。
「…お前、ほっぺた冷てぇな」
ふにふにと両手のひらで挟まれ、ロシアの心臓は跳ね上がる。無性にプロイセンのあの赤い瞳を見たいと思う。でもそれは鍵付きの黒い目隠しに覆われている所為で叶わないのだ。
「プロイセン君の手は温かいね」
「先まで寝てたからな」
「お昼寝?」
「悪いかよ。他にすることねぇんだもん」
むにむと頬を弄るプロイセンが唇を不満そうに尖らせる。
(僕のところにいたときは、プロイセン君怒ってばっかだったもんな。片付けろとか、ウオットカ飲み過ぎだとか、寒いとか…。寒いのは僕の所為じゃないもん。…あー、だからかな?何か、気の緩んだこんな顔のプロイセン君初めてみたかも)
新鮮な驚きにロシアが浸っていると、くわあと目の前のプロイセンが欠伸ひとつした。

「眠ぃ」

「寝たら駄目。僕、一応、お客さんだよ?」
「じゃあ、お前も一緒に寝ろ。お前のことは白熊だと思って添い寝してやる」
「何それ?」
「嫌なら帰れ!!あー、人楽しすぎるぜー!」
ぐしゃぐしゃとロシアの髪を乱すように撫でて、プロイセンはベッドにダイブすると、三分も立たない内に寝息を立て始めた。

「えー、本当に寝ちゃうの?」

ロシアは溜息を吐くとベッドに腰を下ろし、プロイセンの寝顔を覗き込む。




 
「あ~ぁ、僕の負けか。…何か、君には勝てないんだよね。…なんでだろ?」
 




ロシアは盛大な溜息を吐くと、プロイセンの眠るベッドに潜り込んだ。
 
 
 




≫土曜日に続く。





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