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「Axis Powers ヘタリア」の二次創作を扱う非公式ファンサイト。
20 . May
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28 . December


兄弟の朝は概ね、こんな感じ。
寒がりで寝起きの悪い兄を起しに行く弟。







拍手[19回]





ベルリンの冬の朝は寒い。
 
 モスクワの寒さに比べれば、雲泥の差だけどな!…と、ガタガタ震えながらプロイセンが嘯いていたが寒いことには変わりない。そのプロイセンはと言うと、ベッドの上、身体を隠すようにブランケットに包まって眠っていた。ベッドの蓑虫から見えるのは、僅かにはみ出た色素の抜け落ちた金髪だけが見えた。それに呼吸が苦しくないのかとドイツは溜息を吐く。
「兄さん、早く起きてくれ。スープが冷める」
随分と寝起きが悪くなったものだとドイツは思う。昔のプロイセンは軍人らしくきびきびとして、起しに来る間もなく身だしなみを整えていたし、そこには寸分の隙もなかった。でも国ではなくなり、北から戻って体調を崩してからはグダグダもいい感じで、昔の面影はそこにはない。そして、最近のプロイセンは休日になると無駄に早起きして、子どものようにはしゃぐのだから始末におえない。
「兄さん」
「…んー、後、五分」
「先もそう言ったじゃないか。もう五分経ったぞ。起きてくれ」
無理矢理、ブランケットを引き剥がしにドイツはかかるが、身体に巻きつけられているブランケットは思うように引き剥がせない。ドイツは眉を寄せ、低く唸った。
「……兄さん、十秒いないに起きないと、ベルリッツの代わりに俺が何かする!」
生憎とここはプロイセンの寝室なので、ベルリッツはいないが、この脅し文句は兄には効果覿面だ。食べながら器用に煩く喋るプロイセンをぴしゃりと黙らせることが出来た。
「…何かって、何だよ?」
くぐもった声がブランケットの下から、返って来る。
「…それはだな、」
言ってみた…だけで、何かをするつもりなどなかったので何も考えてはいなかった。ドイツは眉を寄せた。
「何、する気だよ?」
揶揄するようにもぞもぞと蓑虫が動く。ドイツは眉間の皺を深めつつ、ベッドへと腰を下ろした。
「…兄さんに、」
「お兄様に?」
「日本から教わった、プロレス技を掛ける」
ぎしっとドイツの体重にベッドのスプリングが悲鳴を上げる。身の危険を感じたプロイセンは勢い良く起き上がった。
「!! 起きる!起きます!!」
がばっとブランケットが捲られる。好き勝手飛び跳ねた髪に、赤い目が窺うようにドイツを見つめた。…ったく。はじめからさっさと起きればよいものの…そう思いながら、ドイツは肉厚な手のひらを伸ばすとプロイセンの寝癖のついた髪を撫でた。
「…お早う。兄さん」
「…おはよ。ヴェスト」
撫でられくすぐったかったのかプロイセンは目を細めると親愛を示すキスを頬に。ドイツも同じように返す。プロイセンの触れた唇や頬は冷たく、その頬を手のひらで包むと、プロイセンはへにゃりと弛緩した。
「お前の手、あったけー。流石、ムキムキ…」
「…ムキムキは関係ないだろう。ブランケットに包まってたクセにどうしてこんなに冷たいんだ?」
「…体温低いからじゃね?…日本に言ったら怒られそうだけど、俺も歳だし、何か冷え性だしなぁ。…なあ、ヴェスト、日本とこの暖房器具買ってくれよ」
しんと冷えた部屋の寒さに身体を震わせたプロイセンはもそもそと暖を取ろうと、ドイツに擦り寄ってきた。
「駄目だ!絶対、そこから動かないじゃないか。兄さんは!」
日本の暖房器具、コタツと言ったか、アレは魔物だ。入ってしまったら最後、動きたくなくなるのは身を持って体感していた。
「いいじゃんかよー。買おうぜ。寧ろ、お兄様の為に買うべきだろ」
「駄目だ」
「むう。ケチんぼめ」
「ケチじゃない。それより、兄さん、早く着替えてくれ。今日のEUの会議には俺をサポートしてくれるんだろう?」
「会議?…あー、今日だったか」
「忘れてたのか?」
「いいや。覚えてたさ」
仕方無しにブランケットと別れたプロイセンはぐうっと伸びをすると、ベッドに座るドイツを見下ろした。
「会議、上手く行ったら、ビール飲みに行こうぜ」
「上手く行ったらな」
今日一日のはじめ、些細な約束をひとつ。ドイツはそれに頷いた。
 



 
 
 
オワリ





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