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「Axis Powers ヘタリア」の二次創作を扱う非公式ファンサイト。
19 . May
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16 . March


タイトルと本文はまったく繋がっておりません。…寝てるって言うか、デスクトップでノリノリで美声(?)を披露してる。

プー不在で、ドイツと悪友。
西普が意外に好きだと気付く。
後、兄ちゃんがカマっぽ……。


頑張れ、ワカゾードイツ。







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本日の会議もお互いの意見が纏まらず紛糾。

 
 フランスとイギリスがいつものように些細なことで喧嘩を始め、周りはまたかと好きなことを始める始末で。止める気配もない。元からあった眉間の皺に更に皺を増やしたドイツの怒号で、午前中の会議は議題は踊ったまま解散、二時より会議再開と相成った。
(…どうして、あの連中の中で一番年下の俺が場を仕切らねばならんのだ。そもそも、今回の議長はフランスだろうが…。ああ、早く帰りたい…)
今日は珍しくイタリアは用があるとかで一緒ではない。少しはゆっくり出来るか…ああ、でも、遅刻せずに会議場に現れるか心配だ。ちりっと痛む胃を押さえ、会議場のあるホテルを出、ドイツは近くにあるカフェに入り、コーヒーとサンドイッチを注文し、深く息を吐いた。休憩時間に目を通そうと持ってきた資料の入ったブリーフケースを開ける気にもならない。…やる気などと言うものがもう湧く気もしない。
(…ああ、早く帰りたい。…でも、兄さんはいないんだろうな)
そう思うと帰る気もしなくて、ドイツはまた溜息を吐いた。その上を能天気な声がぽんと落ちた。

「お、ドイツやん!何、辛気臭い顔して飯食っとんのや。そんな顔、飯に対して失礼やで!」
「そんな顔じゃ、ギャルソンも給仕が怖くて仕方がないよ。…ああ、メルシー。俺、バケットサンド、卵とハムとチーズを挟んだものを。それとエスプレッソね」
「俺、カフェオレ、甘いの頼むで!オレも同じので、トマト沢山入れてくれる?」
「…で、席はここでいいよ。よろしく!」

バチコーン☆とフランスが、ドイツの威圧感に押され声を掛け切れずにおろおろしていたギャルソンからトレイを受け取り、ウインクを送る。それにドイツは顔を上げ、フランスからトレイを受け取った。

「……何しに来た?」

「んー、飯食いに」
「…それだけか?」
どうにもこうにもドイツはこの二人がセットになるとどうも対処に困る。…兄、プロイセンのどうにもよろしくないタチの悪い友人たちだからだ。それにプロイセンが加わると、更にドイツには手に負えなくなる。
「それだけやで。あ、そや、プーちゃん元気か?」
ガタガタと椅子を引き、腰を下ろしてしまったスペインにドイツはもうなす術がない。諦めの溜息をひとつ吐く。それに先ほどのギャルソンがフランスとスペインのオーダーしたメニューを置いて去っていく。
「…元気にしている」
「そうやったら、ええんやけど。今日はフランスとこで会議やし、終わったら、一緒に飲みに行こう思って電話するけど、出ぇへんし。また、寝込んどるのかと思ったわ」
「最近、電話出ないよな。メールしても返事ないし。前は即、返って来てたのにねー」
スペインとフランスの視線が絡み、つっとドイツに向けられる。ドイツは思わず身構えた。
「監禁なんて、してへんやろな?」
「監禁なんて美しくないよ!独占したいのは解るけど、恋愛はスマートに行かないと!」
「何の話だ?」
何をどうすれば「監禁」なんて言葉が出てくるのだ。ドイツは眉を寄せた。
「プーちゃんが」
「電話に出ないのも」
「メールに返信があらへんのも」
「お前がプロイセンを」
「監禁しとるからやろ!!」

「してない!!」

ドイツはダンッとテーブルを叩く。出来るものなら当に実行に移している。…と言う本音はさて置き、ドイツはスペインとフランスを睨んだ。
「ほんまやろな?」
「なら、何でプロイセン、電話にもメールにも出ない訳?」
じりっと睨め付けられ、ドイツは何度目になるか解らない溜息を吐いた。
「携帯を忘れて、出かけているからだ。俺だって連絡が取れなくって困ってるんだ」
この二週間、声すら聴いてないし、プロイセンが送ってくる言葉の切れ端すらない有様だ。このままでは気が狂う。…帰ってきたらどこにも行けないように本当に監禁してやろうかとドイツは物騒なことを考える。
「出かけてるってどこにや?」
「あいつ、自宅警備員でしょ。そいつが出かけてるってどういうことなの?お兄さんに説明してくれる?」
双方から迫られ、ドイツは冷めてしまったコーヒーカップを取り上げ、一口啜った。
「二週間前から、スイスのところに行っている」
そう。家にプロイセンはいないのだ。
「は?スイス?!」
「スイスがプーちゃんに何の用があるんや?」
「俺も知らん。…暇なら、仕事を手伝えと言って来たようだ。仕事の内容は聞いてはいないが、嬉々として「スイスんとこに出稼ぎに行ってくるぜー!!」…と、兄さ……兄貴は出かけて行った」
そのときのことを思い出すと涙が出そうだ。スイスからの用件を二つ返事で引き受けたらしいプロイセンはドイツが声を掛ける間もなく、必要最低限の荷物を纏め、軍から払い下げられたバイクに颯爽と跨り(それはもう格好良かった)、スイスへと行ってしまったのだ。
「出稼ぎって」
「ドイツんとこの経済ってそんなにやばかったん?」
「ヤバイと言うほどヤバくはない。東と西の経済格差が今日明日で劇的に変わるものでもないしな。まったく問題ない。…ただ、」
東西の格差は相変わらずだが、徐々には良くなってきている。それを気に病んではいたようだが、プロイセンが出稼ぎに出て、こればかりはすぐに良くなる様な問題でもない。
「ただ?」
「ニートだとか、ごく潰しだとか周りから言われているのを…まあ、俺はそんなこと思ってはいないし、家に居てくれるだけ有難いんだが、結構、気にしていたらしくてな…」
「…あー」
「意外に繊細やからな。プーちゃん」
しみじみと付き合いの長いフランスとスペインが頷き合う。…プロイセンに対して「繊細」と言う言葉がまさかこのふたりの口から出てくるとは思わなかった。
「…なら、しゃあないなぁ。久しぶりに顔、見たかったんやけどなぁ」
「…まあ、元気にしてるならいいのよ」
二人は漸くコーヒーとサンドイッチに手をつける。それにつられるようにドイツも食事を再開する。皿とカップがそれぞれ空になり、コーヒーのおかわりを頼んだ三人。ドイツは運ばれてきたコーヒーを啜り、フランスとスペインを見やる。…どうやら、席を立つ気配はない。会議が始まるまでゆうに一時間はある。居座る気かとドイツはこっそりと心中、溜息を吐いた。

「…そう言えばさ、俺、プーちゃんに結婚申し込んだことがあったんやけど」

唐突に口を開き、核弾頭を投下したスペインの仰天発言に口に含んだコーヒーを噴出しそうになって、ドイツは咳き込む。その背中をフランスが摩る。
「おいおい、いきなり、何言い出すのこの子!ドイツが驚いてるじゃない!」
「いやー、何か、プーちゃんのこと考えてたら思い出してん」
悪びれもせずにスペインが言う。
「…ケホッ…結婚って何だ!!」
まったく持って聞き捨てならないことを訊いた。ドイツは咳き込んで潤んだ目ででスペインを睨んだ。
「あれ、多分、百年くらい前やったかと思うけど、丁度、ウチの上司が亡くなってなぁ。プーちゃんとこの上司んとこから上司になってくれるひとおらんかな思て」
「…あー、そんなこともありましたねぇー」
思い出したのかフランスが相槌を打った。ドイツは解らずに眉間に皺を寄せる。その頃はまだプロイセンの庇護下にあり、国の情勢などろくに解りもしなかったのだ。
「俺、結構、本気で結婚申し込みに行ったんやで。二度も結婚失敗しとるけど、今度こそはって思うてなぁ」
懐かしむような顔をしてスペインが言う。
「二度も結婚してたのか?」
突っ込みどころはそこではないだろうと思ったが、ドイツは気になって思わず口を挟む。
「一度目はオーストリアと。二度目はこいつとやな」
ぐいっと親指で指されたフランスは顎を引いた。
「オーストリアよりは良かったでしょ!俺」
「イヤ。あんま、良うなかったから別れたんやろ。なんつーか、オーストリアとは身体の相性は割かし良かったんやけど、性格の不一致って言うんか?…お前とはなんちゅーか、考え方の相違?」
「身体の方は相性バッチリだったでしょ!!」
「あー、あれな。あんまりお前が言うほどようなかったで。感じてるフリしとっただけや。俺、実は不感症やねん」
「うわー、お前、最悪!!今になって、そんなこと言わないでよ!俺のテクがなかったみたいじゃない!!」
「あはは。俺、演技派やねん。よがるのうまかったやろ?…でもまあ、元々なんちゅうか、オーストリアやお前みたいな貴族気質とは元々俺は合わんかったんや。だから、上手くいかんかったんやな。着飾って、見栄張って何ぼでも、先立つもんがないとどうにもならへん。んなもんで、飯もよう食えへんしな。プーちゃんは俺様やけどオーストリアやお前と違って流離ってる時期も長かったし、国になるまで相当苦労しとるから、堅実的で質素を重んじとるやろ。だから、プーちゃんとなら上手くやっていけるんやないかと、俺、思うたんやけどなぁ。でも、邪魔は入るし…」
色々と思い出してきたのか、スペインはじとりとフランスを睨む。睨まれたフランスはキッとスペインを睨み、口を開いた。
「邪魔するに決まってるでしょ!!どうせなら、俺も混ぜてよ!!」
「えー。イヤや。俺は好きなもんは独り占めしたいんや」
「独り占め反対!!愛は平等に!!お兄さんも愛してよ!!」
二人のやり取りにドイツは頭が痛くなってきた。そして、心底思う。そうならなくて良かった。
「…上司のことはさて置き、一体、スペインは何だって兄貴と結婚しようと思ったんだ?…あの人ほど、結婚に向かないひとはいないとは思うが」
「ん?そんなん、プーちゃんのことが単純に好きやからや。それにプーちゃん、結婚に向かへんことはないやろ。あれで結構、真面目なとこありよるし、一途やし、そこの髭よりは甲斐性あるし、面倒見もええ。お前の可愛がり方見てたら、いい伴侶になれる思うたんやけどなぁ。俺も子ども好きやし。でも、子育てに忙しくってお前構ってる暇なんかあらへんって言われて、フラれてもうたわ」
スペインの言うことは的を得ている。プロイセンはこれでもかと言うほど世話焼きだった。そして、礼儀作法にも今では信じられないほど煩かったし、誉めるのも叱るのも滅法上手かった。統一に向けて忙しい合間を縫ってはよく自分を構ってくれた…と思う。…一途に、最後には自分を国にまでしてくれたのだから、これを甲斐性なしとは言えまい。確かにプロイセンは良き母であり、良き父だった。
「酷いわ、スペイン、俺のこと甲斐性無しとかそんな風に思ってワケ?」
「甲斐性なしやん」
「お、お兄さん、泣いちゃう!」
さめざめと泣き始めたフランスを横目で見やり、スペインはにこりとドイツに笑いかける。
「プーちゃんも子育ても済んだみたいやし、俺、もう一度アタックしてみよかな思っとるんやけど。今はプーちゃん、国やないから一緒に暮らせるしな。前は前で、お前のことがなければ結構、満更でもなかったようやし?」
「な?!」
「あ、なら、お兄さんもプロイセンに結婚、申し込むよ!!」
フランスが手を上げる。それをスペインが睨む。
「お前はあかんやろ」
「何で!?」
「プーちゃん、自分の大事なところお前に占拠されたの、結構、根にもっとるで」
「何それ!!俺なんか、俺なんか、何度、俺の大事なとこ占拠されたのよ!?」
ぎゃーぎゃー言い合いを始めた二人にドイツはダンッとテーブルを叩く。がちゃんと音を立てたカップに二人はぴたりと口を閉じ、ドイツを見やった。
 
「兄さんは俺のものだ。結婚は絶対に許可しない!!」

青筋立て、立ち上がったドイツに二人は顔を合わせる。

「なら、早う、プロポーズせなあかんで」
「そうそう。じゃないとお兄さん達でプロイセン、頂いちゃうからね」

ばちこーん☆…同時にウインクを送ってきた二人は席を立つ。

「あら、もうこんな時間。そろそろ、ホテル戻らないとねぇ」
「せやなぁ」

「…え、あ、おい!」

「勘定、よろしゅうな!!」
「ごちそうさま!」

狼狽するドイツにニヤニヤニヨニヨ笑みを浮かべた二人は逃げていく。それを呆然と見送り、ドイツは眉間に皺を寄せると、腰を落とした。

(揶揄われた!)

その上に勘定まで押し付けられた。ドイツは深い溜息を吐く。
 
…ああ、本当にしてやろうじゃないか。プロポーズ。

半ばやけくそ気味に決意を固めると、ドイツはユーロを置いて席を立つ。

(今日中に終わらせるぞ!そして、スイスに乗り込む!!)

こうして会議はドイツの怒涛の勢いにより全ての議案が可決したという。…そして、帰途に着いたドイツは赤い薔薇を抱え、スイスに突撃し、大層、プロイセンを混乱に陥れたのであった。
 


 
 
 

オワレ!!





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