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「Axis Powers ヘタリア」の二次創作を扱う非公式ファンサイト。
20 . May
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22 . April


まとも(?)にイチャラブなドイツ編

 

 気まぐれに甘えるように擦り寄ってきて、膝を占拠し寛ぎ始めたプロイセンにドイツは眉間に皺を寄せた。これでは新聞に目を通せないではないか。文句を言おうと口を開けば、

「あーん」

と、差し出されたスプーン。慣れと言うか条件反射に口を開けば、舌に冷やりと冷たく甘い苺の味。その舌に融けていった甘味を堪能し、視線をプロイセンへと向ければプロイセンはスプーンで淡いピンク色の表面を削り取って、口へと運び、
「…うめめっ!」
と、表情を蕩けさせる。そして再びスプーンはカップの中を掬い、ドイツの口元へと差し出される。それを甘んじてドイツは口を開く。ひとつのものを互いに分け合うのは慣習だ。ドイツが小さな頃より、プロイセンはこうして自分に色んなものを分け与えてくれた。
「美味いな」
「だろ。一時間、並んだ甲斐があったぜ」
交互の口を行き来していたスプーンが最後のひとさじ。プロイセンは何の躊躇いもなくそれをドイツの口へと運ぶ。その最後の一口は出来ればプロイセンの口へと収めて欲しいのだが、それを断るとプロイセンは酷く機嫌を損ね、喧嘩になってしまうのでドイツは素直に口を開いた。
「並んだ?」
「マーケットの近くにアイスクリームの屋台が出来たんだ。これが果物と濃厚で新鮮な牛乳を使って作られてるとかで評判でさ。食ってみてぇ、お前に食べさせたいと思って」
プロイセンはこういうひとなのだ。こういうひとだから、好きになってしまったんだろう。
「ありがとう。美味しかった」
「おう。明日は白桃な。これもきっと美味いぞ」
「ああ、そうだな」
上機嫌に笑うプロイセンの唇が近づいてきて、ドイツは目を細める。

合わさった唇は、アイスクリームよりも美味で大層、甘かった。

 

 

苺大福うめぇ。日本編


「これ、美味いな」


薄皮であんこと苺を丸ごと包んだ大福に目をきらきらさせるプロイセンに日本は少なくなった茶を注ぎ足す。それに、プロイセンは「ダンケ」と言葉を返し、テーブルの上の皿に手を伸ばした。
「中の苺が美味い」
「家で品種改良した苺です。大粒で甘いのが特徴ですよ」
「へー。なんか、ウチ周辺で苺って言えば、ワイルドストロベリーか木苺だからな。大概がジャムか加工したもので生では食わないし、お前のところのは甘くてこのまま食っても美味いよな」
「ありがとうございます。頂き物の苺がありますので、食後のデザートにお出ししますね」
「おう」
ぱくぱくと美味しそうに食べるプロイセンに日本も和む。それと同時にちょっとした欲求が生まれる。
「師匠」
日本は目を細める。
「何だ?」
「口端にあんこが」
「ん?」
赤い舌先が口端を舐める。それに衝動的に日本は腰を浮かせると、プロイセンの顎を掴んだ。

「……お前なぁ」

耳まで赤くし、こちらを睨むプロイセンに日本はふふっと小さく笑った。


「師匠も大変甘くて、美味しかったですよ」

 

 


熱いジャムにはご用心。家族愛だよロシア編


「…プロイセン君、何、してるの?」

カリーニングラードにあるプロイセンの自宅を訪ねたロシアは、台所でごそごそと忙しいプロイセンに声を掛けた。

「…あー?何だ、お前、いつ来やがった?」

「先だよ」
プロイセンは鍋の中をゆっくりと掻き回している。甘い香りがロシアの鼻腔を擽った。
「何、作ってるの?」
「見りゃ、解るだろ。先、隣のおばさんがしこたまブラックベリーをくれたんだが、ひとりじゃ食いきらないし、放っておけば腐るしそれじゃ勿体無いから、ジャムにしようかと。保存きくしな。…っと、もういいか」
プロイセンは火を止めると背中に張り付いてきたロシアを一瞥し、リビングの窓辺に干しておいたガラスの容器をロシアを引っ付けたまま取りに行く。
「味見するか?」
ジャムをガラスの容器に流し込んで行くのを興味深そうに子どものように見ていたロシアはそれにこくりと頷いた。プロイセンはスプーンを取ると鍋のジャムをひとすくいしてロシアの口元へと運ぶ。
「まだ、熱いからって…って、おい」
「あちゅい」
プロイセンが忠告するよりも先に口を開いて待ち構えていたロシアは涙目になってプロイセンを見やる。それにプロイセンは小さく溜息を吐いた。
「だから、言っただろうが。見せてみろ」
「ん」
赤くなっているに違いない舌を出す。
「あー、赤いな」
それをしげしげと眺め、プロイセンは顔を近づけるとロシアの舌をべろりと舐めた。

「な、何すんの!?」

思わず驚いてロシアは後退さる。それに、プロイセンは不思議そうな顔をして首を傾けた。
「火傷の治療だろ」
「治療って、普通、こんなことしないよ!?」
「え、そうなのか?昔、親父がこうすると治りが早いんだってしてくれたぞ。ルッツにもしてやってたし。お前、やってもらったことないのか?」

「……ある訳ないでしょ…って言うか、プロイセン君って時々、すごい天然だよね…」

それでも舐められた舌の痛みは驚く程早く、なくなってしまったのだった。

 


熱いものは冷ましてから飲みなさい。…親父編

 


「親父、おやつにしようぜ!おやつ!!」

バンッと執務室のドアを乱暴に開け放ったプロイセンにフリードリヒは眉を寄せ、溜息を吐いた。
「お前はもう少し、静かに入室出来ないのかね?」
「あん?しょうがねぇだろ。手、塞がってんだもん」
カップとポット、クーヘンの乗ったトレイを手にしたプロイセンはそう言うと束になった書類の山を避け、トレイを下ろし、脇にあった椅子をガタガタと音を立てて引き寄せた。それにフリードリヒは眉を寄せた。静かだった執務室はプロイセンひとり増えただけで、人が十人居るような騒がしさになる。それを気にするでもなくプロイセンはカップにポットのコーヒーを注いでいく。ふわりと漂うコーヒーの香りにフリードリヒは眉間の皺を緩めると手にしていた羽ペンをトレーへと戻し、息を吐いた。
「…アートベーレトルテだな。もうそんな時期か」
苺がたっぷりと入ったトルテに大王は目を細めた。
「これ見ると春だって思うよな。後、二ヶ月くらいすればお前の好きなさくらんぼも食えるようになるだろ」
「…うむ。今年は収穫量が多いといいんだが」
「天気が良ければな。今年の冬はそんなに寒くなかったし、大丈夫じゃね?」
「…だと良いのだがな」
こればかりは天候と気温に左右されるため如何ともし難い。フリードリヒはカップを手に取る。その横で同じようにカップを持ち上げ、口を付けたプロイセンが悲鳴を上げた。
「あつっ!!」
「どうした?」
それにフリードリヒはカップを下ろす。涙目にプロイセンはフリードリヒを見やった。
「…べろ、やけどした」
「ちゃんとふーふーして、口にせぬからだ」
「…うー、こんなにあついなんておもわなかったんだよー」
口を尖らせて、プロイセンが言う。それにフリードリヒは溜息を吐いた。
「どれ、火傷したところを見てやろう。舌を出せ。プロイセン」
「ん」
言われるがままにプロイセンは舌を突き出す。その舌をまじまじとフリードリヒは見やった。
「ふむ。赤くなっておるな。痛いか?」
「いひゃい」
舌を突き出したまま、プロイセンは答える。それにフリードリヒは顔を近づけると、突き出されたその舌をべろりと舐めた。
「ひゃ!!」
驚いた顔をして、舌を慌てて引っ込めたプロイセンは仰け反る。ぐらりと傾き、椅子から転げ落ちそうになるのをフリードリヒは抱きとめた。
「おま!いきなり、何すんだ!!」
「何をするんだとは、治療だろう。こうすると、治りが早いらしい」
「治療?…何だ、治療か!驚かせんなよな!!」
治療で納得したらしいプロイセンにフリードリヒは苦笑する。…これが治療の筈がないだろうが。
「…さて、プロイセン、トルテを頂こうか」
「お、おう!」

 


不思議なことにそれで、火傷は治ってしまった。それを思い出して、プロイセンが幼いドイツに同じ事をしてやり、ロシアにもしてやったのは別のお話。











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