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「Axis Powers ヘタリア」の二次創作を扱う非公式ファンサイト。
05 . April
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17 . March


時代設定は、現代とは違うパレレルワールドとなっています。ツッコミ不可。
前フリと人物設定などはカテゴリ日記の「そのうちやってみたい覚書(多分、くしゃみして飽きる)」参照

モブと普のターン。エロって思ったのにエロじゃなくなったのは何でだろうな…。

気が向いたら続く…かもしれない。







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 ショーが終わり、ステージ奥の楽屋に戻り、マスクを剥ぎ取り、軍服をギルベルトは脱いで私服へと戻る。同じように着替え始めた男を見やり、ギルベルトは口を開いた。
「ヤン、お前さ、もっと俺に欲情しろよ。ひとり、冷静な顔しやがってよー。俺だけ盛り上がってバカみてぇじゃん!」
「お前がそうやって、ちゃちゃをいれなければ欲情出来るんだがな。興が殺がれる」
「…入れなきゃやってらんねぇっての」
「確かにな。…と、言うか…」
ヤンはシャツの袖の釦を留め、ギルベルトを見やる。それにきょとりと首を傾ける。…軍の諜報員…と言う顔から酷く遠く、年相応に物知らずな顔をしている。舞台の顔とは別の顔をする。どれがこの男の本当の顔なのか、暫し、ヤンはその顔を見つめた。
「黙ってれば、それなりに…何だが、お前ほど残念な奴も珍しいな」
ひとには珍しいアルビノだが、その特異性に脆弱さはなく、儚い美しさなど影もない。良く喋り、良く食い、良く飲む体は健康的で健常者とかわりがない。それでも、憂いを帯びて伏せられた赤く潤んだ目には惹きつけられるような、深入りすれば逃げ出すことすら不可能になりそうな危うい何かがあって、それを本能的に察して、深入りするのを恐れている。「なあなあ」のこの距離が一番安全なのだ。
「残念で悪かったな!…親父もそう言うんだよな。俺のどこが残念だって言うんだ!」
口を尖らせ、文句を言うギルベルトにヤンは溜息を吐いた。
「そういうところが、だろ。…話は変わるが、そろそろいいんじゃないか?」
「…むう…何がだよ?」
口を尖らせたギルベルトはヤンを睨んだ。
「オークションだよ。あれだけ熱心に通っているんだ。ヒューゴの話だとターゲットはお前のことを色々、訊いているようだし」
「…あー、オークションか」
ギルベルトは息を吐き、短い頭髪を掻き毟った。…オークションとは週末に催されるショーの余興で踊り子が任意で自身を競売に掛けるのだ。高値を付けた客はその踊り子と一晩過ごす権利が与えられた。それがこのクラブのウリでもあり、それを目当てに週末には客が入る。冷やかしの客、一夜の夢を見るために金を惜しまない客…このクラブには己の性癖を隠した者達が抑圧された一夜の快楽を求めて集うのだ。
「…ターゲットが買ってくれれば、いいんだけどよ。…ジジイとかだったら、嫌だろ?…ってか、俺、処女だしさー。正直、怖ぇんだけど…」
ちらりとギルベルトは赤を上げる。ヤンは眉を寄せた。
「経験ないのか?嘘だろう?」
「ねぇよ」
「…それで、よくまぁ、あんな絡み方が出来るな」
百戦錬磨な娼婦の顔で絡み付いて、挑発的な視線で舞台に立つこの青年が「処女」だとは笑わせる。ヤンは眉を寄せた。
「演じるのは簡単だからな。他の奴見て研究したし、お前、ちっとも反応してくれねぇから、色々、勉強したんだぜ。…成果出てねぇけどな」
「努力を無駄にして悪かったな」
「そう思うんだったら、もうちょっと俺のこと意識しろよ」
「それは、無理だな。お前は好みじゃない」
「…好みじゃねぇとか、っと、つれねぇーの。…お前となら寝てみるのも悪くねぇと思ってんのに」
ぶすりとむくれた顔でギルベルトが言う。ヤンは目を細めた。
「冗談はよせ」
「冗談じゃねぇっての。…最終的に、ターゲットの客とはヤることになるんだ。そんとき、経験ねぇのが解ったら、主導権握れねぇだろ。…今のうちにどんなもんなのか、経験しときたい。相手は嫌じゃなかったら、お前がいい」
真顔で返され、ヤンはギルベルトを見つめた。
「諜報員は命令で体まで鬻ぐのか?」
「これは俺が、親父の役に立ちたくて自主的にやってることだ。俺はあのひとの為にだったら何でもするし、使えるものは何だって使うさ。それが、自分自身でもな」
そこまで、ギルベルトに言わせる「親父」とは何者だと、ヤンは問いかけて口を噤む。深入りは自身の身を滅ぼし兼ねない。この青年に協力はするが、深入りはしないと決めたのだ。それを知る必要はない。

「…手ほどき程度でいいのなら、相手になろう」

この何も知らない体に最初に、快楽の痕を刻む。…ぞくりと悪寒にも似た何かが、ヤンの背筋を駆け抜けた。

 

 

 

 この国はどこまでも美しく強く、理想の国でなければならない。そうあるためには、移民など到底受け入れられず、劣勢人種は排除していかなければならない。

 純潔たれ。

 その高貴な血統に汚れた血など必要ない。その血統を美しいまま、保持し、後世に残していかねばならぬのだ。
 マイノリティーの狂ったものはこの国に相応しくない。聖書の教えに反し、同性を愛する者は排除せねばならない。
 この国に他人種は必要ない。如何なる血をも受け入れることはならない。我々は神に選ばれた人種なのだ。民族なのだ。他人種と交わるなど、汚らわしい。排除せねばならないのだ。

 

 

 

「…なあ、服、全部、脱げばいい?」

アパートの一室。珍しいのかきょろりと視線を彷徨わせ、そわそわしたようにギルベルトが口を開く。本当に初めてらしい。舞台の上とは打って変わって落ち着きのない顔をするそれを見やり、ヤンは栓を抜いたビールの瓶を差し出した。
「…性急だな。これでも飲んで少しは落ち着け」
差し出されたそれを受け取り、ベッドに腰を下ろしたギルベルトはぐいっと瓶を煽る。その顎をつうっと琥珀色が流れ落ちていく。それを無造作に拭い、ギルベルトは息を吐いた。
「…ビール、スゲー、久しぶり。うめぇ!」
「それは良かった」
同じ様に煽り、瓶を空けたヤンは空になった瓶をテーブルに置いて、ギルベルトを見やる。必然的に見下ろすような形になる。舞台の上とは違い、隙を見せるその顔は自分を信用しているからなのか。ヤンはそっと薄暗い明かりの下、ギルベルトの顎に触れた。
「…ん」
触れなれた体だが、意図を持って触れたことなど一度もない。舞台上ではお互いに仕事だと割り切り、肌を触れ合わせている。そこに何かが混じることなど、あってはならないのだ。それに、止む得ない事情であの店に身を置いてはいるが、自分はヘテロで、ギルベルトもヘテロだろう。
「…女の経験は?」
「ある。…数えるぐらいしかねぇけど。…お前は?」
「…そこそこだ」
「…ふーん。お前、ガタイいいし、モテそうだよな」
「そうでもない。俺は移民だしな。アーリア人のお前は違うだろう?」
「…純粋なアーリア人じゃねぇよ。…多分。…しかも、この形だから、親にまで捨てられたしな」
ギルベルトは視線を伏せると、顎に触れたままのヤンの手を掴み頬を摺り寄せた。
「…親父、と言う人は、お前の本当の親ではないのか?」
「…違う。あのひとは孤児院にいた俺を見出して、養子にしてくれたんだ。…俺が亡くなった息子に似てるんだって。…あのひとがいなきゃ、俺はこの容姿の所為で如何わしいクズのおっさんところに売り飛ばされそうになってたからよ。…絶望しか知らなかった俺に希望を与えてくれたのはあのひとだ。…人並みな生活を送らせてくれたことに感謝してるし、あのひとの為だったら、俺は…」
「…もういい」
唇を塞ぐ。触れるだけの口付けに留めて、ヤンはギルベルトの頬を撫でた。
「…色々、お前も大変だったんだな」
「…別に、大変、とか、思ったことはねぇけどよ…」
「…そうか」
ごにょりと語尾を滲ませて、口付けられた唇をなぞり視線を上げる。ヤンはその赤を見つめ返した。
「…クローネから、お前、劣勢人種隔離政策から逃れて来たって、聞いたけど…、祖国はどこなんだ?」
「ルーマニアだ」
「…ハンガリーの近くだな」
「ああ。親父の代に移住してきたんだ。…あっちも、飢饉だなんだと色々遭って、生き辛いから逃げてきたんだが、プロイセンだったときは良かったが、ドイツ帝国になってからは人種政策の縛りが一層きつくなった。アーリア人以外男は皆、去勢、女は全て堕胎…、同性愛者も同様…。この国は狂ってる」
「…総統が変わってからおかしくなったな。皇帝はもうただのお飾りだ。政治の実権は全て掌握され、その手は軍の中枢まで伸びようとしてる…。…まあ、それを阻んでるのが親父なんだけどさ」
「親父殿は随分と高い位にあるんだな」
「ああ。現皇帝の腹違いの兄と言う立場だからな。お陰で、政権も容易に手出しできない。出せば、王政支持派が黙っちゃいないしな」
「…成る程。…親父殿は王政復古を狙ってるのか?」
「…いや。王政復古なんてものはもう時代錯誤だ。民主化して、選挙により選出された議会が必要だ。その中から、適切なリーダーを選挙により選出するのが理想だ。…って、難しいことは良く解らねぇけど、言ってたぜ。後、人種隔離だとかこんな馬鹿なことは非生産的だって、俺もそう思う。この国を支えてるのはプロイセン王国時代からの移民が半数を超える。アーリア人だけで国を支えるのは無理がある。…でも、誰もそれを口に出来ねぇ。…秘密警察が怖いからな」
いつから新聞もラジオもひとの口も、言論は封じられ、人の目を気にし、口を憚る重い空気がこの国には漂うようになったきた。
「…ま、俺は身分が身分だし、秘密警察は付いてねぇけどよ」
「店もな。あそこは財界や政界、軍の関係者が出入りしてるし、迂闊に手が出せないだろうしな」
「…うん。…もう、難しい、話は止めにしようぜ。…何か、やる気で来たのに殺がれた」
「…同意だ。ビール飲むか?」
「飲む!!」
諸手を挙げて賛成したギルベルトにヤンは苦笑を浮かべ、銀糸を撫でると立ち上がった。






 

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