まったく、一体、何を考えているんだ。兄さんは!目隠しで一週間、過ごし、その間、やってきた訪問者を全て当てることが出来たら、何でも願い事がひとつ叶うなどそんなことある訳ないだろう。直ぐに飽きて、帰ってくるかと思っていたが、もう日曜日だ。この一週間、俺がどれだけ心配し、仕事が手につかなかったことか!…ヴルストは兄さんの分まで茹でてしまうし、ホットケーキは余分に焼いてしまうし、クーヘンは作りすぎるし、本当に散々だ。このままでは、胃に穴が空いてしまうではないか!胃が痛いのは国際会議だけで充分だ!
「今すぐに帰ってきてもらうぞ!兄さん」
離れ離れなど、もう耐えられない。あんな思いは二度としたくない。
ドイツは立ち上がると、プロイセンを迎えに行く準備を慌しく始めた。
兄さんに一週間、目隠しで、とある一室でひとりで過ごしてもらうことになった。
兄さんは寂しがり屋だ。構わないでいると拗ねて、「一人楽しすぎるぜー!!」とか言い始めるどうしようもないひとだが、この世で俺にとっては一番かけがえのない大切なひとだ。そんな兄さんが過ごす部屋に一日一回、誰かが訪問することになった。
制限時間は、一時間。
訪問してきた俺を当てることが出来たなら、兄さんの勝ち。
当てられなければ、俺の勝ち。
勝った方の言うことをひとつだけ、どちらかが訊くと言うルールだ。
今日は週の終わりの日曜日。最後の曜日は、俺、ドイツだ。
行くからには勝つつもりで行くが…、俺は何をしても、あの兄にゲームと名の付くもので勝てたことがないのだが…、どうしたら勝てるだろうか…。
[40回]
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