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「Axis Powers ヘタリア」の二次創作を扱う非公式ファンサイト。
05 . April
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12 . October


6頬:親愛、厚意(メリカ)


独立戦争時、親父がこっそりアメリカを支援していたという逸話を知って以降、書きたかった話を書いてみた。兄さんが一番弟子を鍛えるぜな話になってしまったぜ。…オカシイ。

※独立戦争・フリードリッヒ・ヴィルヘルム・フォン・シュトイベン Wiki参照





 




拍手[10回]



「少年時代」
 
 
 
 
 
 乾いた風に目を細め、滅多に吸わない煙草を手に遊ばせ、燻るのをぼんやりとプロイセンは眺めている。それを脚を抱き、アメリカは眺める。
 
 シュトイベンが祖国から、民兵錬成の為に招聘してきた青年は一般人を装い、戦況を知るべく、プロイセンから諜報に派遣されたプロイセン本人だった。
 
 シュトイベンより有能な人物だと聞かされ、先の七年戦争でオーストリアに勝利し、一躍、欧州の大国となったプロイセン本人の来訪にアメリカは援助を請えると期待し喜んだが、プロイセンの第一印象は最悪の一言だった。船を降り、出迎えたお偉方を袖に真っ先に練兵場に出向いたプロイセンの口からは罵詈雑言しか出なかった。
「コレでイギリスの野郎と遣り合おうなんざ、無謀としかいいようがねぇな」
寄せ集めの民兵の武器は農具。武器の扱いは愚か、軍とは何であるか全然理解できてない。馬鹿にしたような口ぶりに、憤慨して口を開けば、鼻で笑われる有様でアメリカは頬を膨らませ、皆、頑張っているのだと抗議すれば、プロイセンは冷ややかな視線を向け、アメリカを黙らせた。
「頑張りゃ、どうにかなるんなら苦労はしねぇんだよ。国民の命預かって、独立の為に宗主国と遣り合おうってんだ。お前に、何を犠牲にしても、必ず独立を勝ち取るって覚悟があるのか?ちょっと暴れて、駄々捏ねりゃ、イギリスが折れるとでも思ってんのか?そう思ってるんだったら、オメデタイ野郎としかいいようがねぇぜ。その前に、お前、自分の為にイギリス、殺せるか?出来ないだったら、とっとと腹見せて、降伏するんだな。そーすりゃ、イギリスも笑って許しててくれるだろうよ」
身に刺さるような痛い言葉だった。泣きそうになるのを辛うじて堪える。それを一瞥し、プロイセンは無言のうちに踵を返す。その背中をアメリカは睨む。ぐうの音も出なかった。まだ、そんな覚悟は早いと、ずるずる決断から逃げていたから。それを見透かされて、恥ずかしかった。それに、甘えていた自分を容赦なく指摘し、糾弾してきたのはプロイセンが初めてだった。イギリスはいつもやさしく自分には甘かった。自分は何も知らずに甘やかされていたのをアメリカは痛感した。
 
 
 翌日、長旅の疲れなど見せることなく練兵場に現れたプロイセンの教官としての仕事ぶりは、容赦なく今までにない厳しいものであった。
 
 
 まず、隊の中から、百名を選出し、徹底的に規則と連帯を叩きこみ、選ばれた者達がそれぞれの連隊に帰ってその中で他の兵士の模範となり機能的に働きかけていくように指導した。満足に服も着られない兵士の訓練にあたっては、きちんとした軍服に身を包むよう指導し、出来なければ何度もやり直させ、罵声を浴びせ、大声を掛けて行軍させた。これが成功しないような時は、連帯責任として罰則を設け、扱かせた。訓練も受けずに新兵を配属するような習慣を止めさせ、兵員学校から始めて連隊学校に進ませる事前訓練の制度を導入し、各中隊の指揮官には新人の訓練に責任を持たせ、実際の指示は選ばれた軍曹達にやらせた。漸く、軍としての形態を取ることに成功し、各地の戦場で成果を上げ始めるようになると、最初のうちこそプロイセンの容赦のない遣り口に反発していた上層部も兵士たちも黙った。そして、その頃にはプロイセンを崇拝する者まで出始める有様になっていた。アメリカもそのうちの一人だった。プロイセンは良く出来た教官だった。出来なければ、容赦なく罵声を浴びせるが、上手く出来た時には褒める。上下の関係を気にすることなく、気さくな口を聞き、下層の兵士たちとも早々に打ち解けて、酒場で騒ぐまでになっていた。人心を掌握し、それを活かす術をプロイセンは知っていた。それを間近に学べることは、アメリカにとって何物にも代えがたい経験となった。
 
 劣勢だった戦況は徐々に好転していき、兵士たちとプロイセンは喜んだ。それも束の間、バイエルン継承戦争によりイギリスとの関係に悪化を恐れたプロイセン本国から、帰還命令が下り、プロイセンは帰国の途に着くことになった。
 
 船が出るのは、明日だ。
 
 アメリカはプロイセンを遠乗りへと誘った。既に宿舎の荷物の整理を終え、残るは身一つとなり、何もない部屋で代用コーヒーを啜っていたプロイセンは二つ返事で頷いた。ボストンの港が見渡せる小高い丘を駆け上がり、馬を止める。見下ろす港には、忙しく物資と人を乗せた船が行き交い、人足が荷運びに忙しい。それを眺め、プロイセンは配給品の煙草に火を点けた。
「…ねえ、やっぱり、帰るの?」
港を眺め、煙が燻らせるプロイセンの横顔をアメリカは窺った。
「お前に手ぇ貸してんのが、イギリスにバレると、後々、面倒だしな。俺んとこは長かった戦争が漸く終結したばかりだし、余計な争いは避けたい」
「…そっか。君の罵声が聞けなくなるのが、少し、寂しいよ」
ぽつりと呟けば、プロイセンは赤い目を細め笑った。
「甘ったれ坊やがヒイヒイ言う様を見れなくなるのが、俺も寂しいぜ」
「酷いんだぞ!」
笑うプロイセンにアメリカは頬を膨らませる。その頬をプロイセンは突いた。
「俺がいなくなったって、国民は残るんだ。信念貫けるように頑張りな」
「…うん」
出会った頃に比べると、随分とプロイセンの態度は軟化した。アメリカの甘ったれた世迷い事は情け容赦のない悪辣な言葉で切って捨ててくれたが。…お陰で色々と吹っ切れたのだと思う。
「…色々とありがとう。俺の周りには俺を叱ってくれるひとがいなかったから、君がいなかったら、俺は甘ったれのままだったと思う」
アメリカの言葉にプロイセンは少し驚いた顔をして、手にしたままの煙草を揉み消し、それから、徐に手を伸ばすとアメリカの頭を抱き寄せた。
「…っ、プロイセンっ」
驚いて身を捩ると、きつく抱き締められた。
「この先、色んな困難がお前を待ち受けているだろう。でも、これだけは覚えておけ。民意を大事にしろ。雑音に耳を貸す必要はない。イギリスと停戦したら、有利なウチに速やかに講和を結べ。結んだ後も油断はするなよ。お前はイギリスと対等な立場になるんだ。そうなったら、甘えは許されなくなるからな」
耳打ちされた言葉にアメリカは顔を上げた。
「お前のとこにはウチからの移民も多い。お前の国民として幸せにしてやってくれよ」
「幸せにするんだぞ!」
威勢よく返事を返せば、プロイセンは笑い、アメリカの頬に口付けると、額を合わせて、笑った。随分と久しぶりに交わす、忘れていた抱擁。プロイセンに認められたのだと解り、アメリカは破顔した。
 
 
 
 
 
 
 そして、独立宣言から、七年。
 アメリカはイギリスの承認を経て、アメリカ合衆国としての道を歩き始めた。
 
 
 





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