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「Axis Powers ヘタリア」の二次創作を扱う非公式ファンサイト。
20 . May
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21 . January


爺とプロイセン。
お付き合いしてるみたいですが、初々しい。

日普と言い張ろうか。








拍手[26回]



 
 
「いけないことをしませんか?」

 
 
その言葉が目の前で楚々と茶を啜る日本の口からするりと零れる。プロイセンはどう言う反応をすればいいのか解らず、ぽかんと日本の顔を見つめた。
「いけない?」
「恋人になったあなたと邪魔も入らず、ふたりきりなんてもう、一年振りくらいですから。それでなくても、私とあなたの国は遠いですから滅多にお会い出来ませんし…私も色々と不安なんですよ」
じりっと何とも言えぬ視線を寄越した日本に反射的にプロイセンは後退さる。それに日本は湯飲みを下ろし、やんわりと諭すように口を開く。
「別に取って食おうなんて思ってないですよ」
「…んなんじゃねぇよ」
腰が引けてしまったのに言い訳して、プロイセンは日本を睨んだ。
「別にセックスしたいって訳じゃないですよ。…そりゃまあ、したいですけど」
「…お前さ、二次元にしか興味なかったんじゃねぇのか?…ってか、俺を抱く気で話してるだろう?」
「二次元と三次元は別物ですよ。私がタチではいけませんか?」
「いけませんか?…って、俺、男だぞ。お前と同じもん付いてるんだぞ?」
「それは百も承知ですよ」
今まで甘っちょろい恋人の真似事に自分は満足していたのだが、日本はそうではなかったのかとプロイセンは思う。なんと言うか、性欲と無縁そうな顔をして何を言い出すんだと思ってしまった。だから、本気の目にちょっとだけ怯む。これが敵の軍勢目の前にしてなら、絶対に怯んだりしないのだが、こういう雰囲気は慣れてないし、この手の駆け引きは経験皆無過ぎて対策の練りようがない。
「なら、何で…」
「おや、好きなら心ばかりか身体も欲しいと思うのは当然でしょう」
日本の言うことはもっともなのだが、何故か納得いかない。
「…だから、何で俺が女役なんだよ?」
別に受身が嫌だとか…まあ、ちょっと嫌だが、身長も高い、男前な俺様が普通、男役じゃねぇのか?美少女面の日本の方が余程、女役に適してる。
「師匠は爺に無体を働く気ですか?」
こんな時だけ、爺面しやがって。プロイセンは眉を寄せた。
「こんな時だけ、爺ぶんな!!お前こそ、お前からみたら孫程の俺に手出していいのか!犯罪だろ!!」
「…犯罪ですか。でも、どうみても師匠は成人されているようですし、問題ないでしょう」
「屁理屈捏ねやがって。なら言うが、どう見てもお前の方が俺より小さいし、俺の方が力もあるだろ!」
「…試してみますか?」
目を細めた日本の腕がすっと伸び、プロイセンの肩をとんと押した。
「え?……っのわ!?」
声を上げて、プロイセンは畳の上に転がる。慌てて、起き上がろうとするプロイセンに跨り、日本は曖昧な笑みを浮かべ、プロイセンを見下ろした。
「日本!!」
マウントポジションを取られ、焦る。起き上がろうとするがぴくりとも身体は動かない。唇を噛んで睨めば、日本は一層、深く笑みを深めた。
「別に今すぐに、師匠をどうこうしようなんて思ってませんよ。…ただ少し、触らせて下さい。今はそれ以上のことはしませんから」
「…それ以上って、何だ!!」
「それ以上はそれ以上ですよ。それを訊くのは野暮ってものです。…それとも、師匠、私に触られるのは嫌ですか?」
上目遣いに伺えば、プロイセンはううっと小さく唸る。…好きだから、付き合っているのだ。触るのも触られるのも好きだ。でもその先のこととなると女のように受け入れる部位などないし、痛いと訊くし、身体が嫌でも竦んでしまう。戦場で受ける傷の痛みは知っているから耐えられる。でも、そんな未知の痛みなど、進んで知りたくもない。…でも、日本が…。プロイセンはうーんと眉を寄せた。
「……変なことしたら張った押すからな!」
諦め、日本から視線を逸らすと、プロイセンは身体の力を抜いた。日本はくつりと笑うとプロイセンの頬を撫でる。
 穏やかに昔の話をしたり、喋らずとも傍にいるだけでも心地良かったのだが、傍に好きな人がいるのだから、触れたいと思うのはやはり本能だ。日本は白い指先をプロイセンの色の抜け落ちた短い髪に絡ませ、梳いた。
「師匠の肌は白磁のようですね」
頬の輪郭を撫で、滑り落ちていく指。撫でられるのは嫌いではない。撫でるのはもっと好きだ。プロイセンは視線を少しだけ上げ、日本を見やった。
「…お前も結構、つるつるしてるよな」
「爺ですので、結構、カサカサしてるんですよ。寒いこの時期はとくに」
「そうは見ぇねぇどなぁ」
指先でそろりと触れた頬は滑らかで、絹のようだと思う。東洋人の肌はバター色だと言うが日本の肌は白雪のようだ。そして、温かい。
「お、触り心地が俺好み」
するりと頬撫で、漆黒の髪を梳く。さらさらと指の間を流れる髪は指さわりが良く、それをプロイセンは飽きもせずに繰り返す。それに日本は小さく笑みを浮かべた。
「それは良かったです」
…師匠…と小さく言葉を漏らした日本の顔が近くなる。触れ合わせるように頬が滑る。薄いシャツの上、這った華奢な手のひらに一瞬だけ、プロイセンは身を竦ませた。
「…何もしませんよ?」
手のひらを止めた日本に、ばつが悪そうな顔をしてプロイセンはまた視線を逸らす。
「うるせー」

シャツを寛げ、僅かに肌蹴た肌には無数の古傷。それをそっと日本は撫でる。
目の前のプロイセンの全てを愛おしいと思う。この傷も、赤い瞳も、白金の髪も、その身体も何もかもが。

「…くすぐってぇよ」
「すみません」
日本はプロイセンの胸に耳を押し当てる。意外にもプロイセンの鼓動は落ち着いていて、とくとくと刻む音は耳に心地よい。日本は視線を伏せる。プロイセンは包まっていた肩から滑り落ちたブランケットを手繰り寄せると日本の肩を覆った。
「冷えるだろ」
それに視線を上げれば、プロイセンは満更でもないような顔をして日本を見つめ、赤い瞳を細めた。
「…師匠は温かいですねぇ」
「お前の方が温いけど」
「そうですか?」
「うん」
背中に回った腕があやすようにぽんぽんと叩かれる。とろりとそれは日本の眠気を誘った。…ああ、随分と昔、袂を別ったあのひとと同じに、やさしい。
 
(…そう言えば、師匠はお兄さんでしたねぇ…)

「…お前さ、よく解んねぇけど、コミケ?とかで、あんま寝てないんだろ?…もう、寝ちまえ」
うとりと落ちそうになる目蓋に響く、甘くやさしい声。日本は子どものように嫌だと首を振った。
「ここにいるから。お前が重石になってるから、俺、動けねぇし、どこにも行けねぇし。な?」
心音が心地よい。耳に響く声も。
…当初の目的とは違う方向になってしまいましたが、…もうどうでもいいです。あなたの体温が心地良すぎて、融けてしまう…。
「…お言葉に甘えます…」
「…おう」
ゆっくりと落ちた目蓋。聴こえ始めた寝息。それを確認してプロイセンは日本の髪を梳く。
 
「…これじゃ駄目なのかよ。…俺はさ、お前といると気が抜けて、甘えられるんだけどよ。…ってか、甘えてるんだけど…」
兄でもなく、国でもなく、ただのひととして。
激しい想いに身を焦がすような恋より、穏やかな日々の愛を想う。
 
「…いけないこと、ねぇ」
 
胸をちょっとだけ焦がす何か。
プロイセンは日本がぐっすりと寝入っているのを確認すると、前髪に隠れた額にこっそりと口付けを落とした。
 
 
 
オワレ





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