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「Axis Powers ヘタリア」の二次創作を扱う非公式ファンサイト。
04 . April
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17 . October


7唇:愛情 (ハンガリー)

お互い、持ちつ持たれつな関係。
兄さんが泣くのは姉さんの前だけだといいなと…。









拍手[9回]



「やさしい、愛しい」
 
 
 
 
 
 プロイセンは最近、妙に涙脆くなった。…全米が泣いたと言う、ハリソン・フォード主演の犬の映画を逢瀬の為に借りたアパートの一室で見ていたのだが、ごみ箱は既にティッシュの山が築かれ、溢れ零れた丸まったティッシュが転がっている。見かねたハンガリーはバスタオルをプロイセンへと手渡す。それを受け取り、ごしごしと顔を擦るが、プロイセンの涙は止まる気配はないようだ。
 
 …それにしても、
 
 プロイセンは泣かない男だと、ハンガリーは思っていた。…プロイセンとは長い付き合いになるが、目尻に涙を溜め、痛みを堪えるような顔をしても、ぽろぽろと涙を零し、泣くところなど幼い頃ですら見たことがなかった。
 そもそも、男が泣くなんて有り得ない。メソメソ泣く男などナヨナヨしていて気持ちが悪いし、虫唾が走る。女でも大声で泣き喚き、怒鳴り散らし、馬鹿みたいに号泣する様を見ているとイラッとしてくる。泣いてる奴は嫌いだ。慰め方なんか知らなしし、共感出来ないから。泣いたもの勝ちで同情を引きたいだけなら、他所でやって欲しい。泣くことで自分の非を誤魔化そうとする奴がこの世界には多過ぎる。私、可哀想でしょ、同情して、慰めてな察してちゃんに苛々する自分は心の冷たい奴なんだろう。
(…私って、ホント、凄いイヤな女だわ…)
ハンガリーはちらりと隣の男を見やる。五月蝿いだろうと思っていたプロイセンの泣き方は静かだ。ただ、ぼろぼろと赤い目から滴が止めどなく溢れて来る。普段が感情豊かで五月蝿い分、静かに涙を落とす、そのギャップにちょっとくらりときた。
 
「…いつから、そんなに泣き虫になったのよ?」
 
漸く止まったのか、瞼の腫れた顔を上げたプロイセンをハンガリーは見やる。プロイセンはスンっと鼻を啜った。
「…我慢しなくて、良くなったと思った頃からだな。…まあ、ヴェストの前じゃ、まだ泣けないけどよ」
「我慢しなくて良くなったて、どういうこと?」
問えば、、プロイセンはぐしゃぐしゃにしていたバスタオルを広げ、たたみ始めた。相変わらず変なところで、プロイセンは几帳面だ。
「…俺、国じゃなくなっただろ。…だから、もう堪えなくても良くなったんんだって思ったらよ、涙腺壊れちまった」
プロイセンの言っていることが解って、ハンガリーは口を閉じる。自分に親しい人が亡くなっても、そう簡単に泣けなくなった。泣いてはいけないような気がした。そう思ったら、どんなに悲しくても、泣いて吐き出してしまいたくても堪えてしまって、涙ひとつ零せなくなっていた。
「…お涙頂戴モノとか、もーダメだ。何か、勝手に涙が出てくるし…。でも、泣いたら、結構、スッキリすんのな。…最近まで、知らなかったぜ」
きっちりとたたんだバスタオルを膝に置いて、プロイセンはハンガリーを見やった。
「…お前は強いから、辛いこととか悲しいことが遭っても堪えて泣かないんだろうけど、俺がいるからな」
伸びてきた手がぎゅっとハンガリーの手を掴んだ。
「辛いとか悲しいとか、何も言わなくていい。凭り掛かりたくなったら、俺が居るってことは覚えとけよな」
潤んだままの赤い瞳が笑い、細められる。
(…アンタのそういうとこ、敵わないな…って、思うのよね)
でも、素直にそれを認められない。
「…先までベソかいてたアンタに言われてもねぇ…」
意地悪を言えば、プロイセンは眉を寄せた。
「…ほっとけ!お前の前では、もう泣いてやんねー!」
ぷいっと子どものように顔を背け、唇を尖らせ、立ち上がったプロイセンの腕を反射でハンガリーは掴む。思わぬ不意打ちに目を見開いたプロイセンの体をそのまま床に沈める。
「いてぇ!」
喚く、プロイセンの口をハンガリーは塞ぐ。赤が大きく見開いて固まった。
 
「…アンタ、アタシ以外のヤツに泣き顔見せたら、承知しないわよ!」
 
意地っ張りで独占欲ばかりが強い。でも、これは、愛だ。
 
「…今更だ、バーカ!…泣きすぎて、可哀想な俺様を慰めろ!」
 
その言葉に、自分はプロイセンの中で特別なのだと解り、嬉しいのを知られたくなくて押し殺す。完全に油断していた。伸びてきた腕に気づいた時には位置は入れ替わり、見下ろす赤に、ハンガリーは余裕ぶって肩を竦め、大仰に溜息を吐いた。
 
「仕方がないから、慰めてあげる」
「仕方がないから、慰められてやるぜ」
 
憎まれ口をお互いに笑って、唇を重ねる。それが、愛しくてならなかった。
 
 
 





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