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「Axis Powers ヘタリア」の二次創作を扱う非公式ファンサイト。
19 . May
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18 . November


20万打 さがの様キリリク

小学生男子のような言動をする兄さんとリクエスト頂き、何でか思いついた話が皆で芋掘りに行く話に。
(なんでやねん!)

兄さんとメリカが小学生と言うか、幼稚園児みたいになってます。申し訳…。
苦情その他、受け付けておりますので遠慮なく、お申し出ください。

リクエスト、有難うございました!



秋の味覚はほっくりほっくり。
皆で芋掘りに行くお話。






拍手[27回]



 
 
 
 爺ちゃんの囲碁仲間の芋を作ってるトモ爺がぎっくり腰で動けなくなって、芋が収穫できなくて困ってると言う。日当を出すから収穫を手伝ってくれないかとSOSが俺に来た。トモ爺にはいつもおいしい野菜やら米やら、我が家は頂いているので、ひとつ返事で頷いた。友人を連れて行ってもいいかとお伺いを立てたら、大歓迎、友人らにも日当も出すし、お昼ごはんもごちそう、おやつには掘った芋をその場で焼き芋にして食べてもいいよ、お芋もお土産に持たせちゃうよ!と太っ腹な返事。大学の友人を誘うつもりでいたのだが、コンビニに来たうさぎさんにそのことを話したら、目をキラキラさせ「芋掘りって日本の秋のフウブツシなんだろ?」…どこで、そんな知識を仕入れたのか、日本の秋を満喫したいから参加したいと言いだした。断る理由もないのでお願いしたら、困ってるならとムキムキさん、面白そうだとハンバーガー君、日本の農業に興味があると髭さん、そして、
 
「別にお前が困ってるから手伝ってやる訳じゃないからな!」
 
と、ツンデレブリティッシュな眉毛さんが参加。本田さんも芋掘りは久しぶりですと参加を表明。五人の外国人+本田さんを引き連れ、免許取ったばかりな俺の運転でいざ、日曜日、晴天の芋畑へ。トモ爺はまさか、俺が外国人を連れてくるとは思っていなかっったらしく、痛めてる腰を抜かさんばかりに驚き、トモ爺の奥さんのアキ婆は挙動不審になったが、気のいい皆にすぐに慣れて、ぎっくり腰のトモ爺を家に残し、アキ婆の運転する軽トラで芋畑へと俺らは向かった。
 
「おお!スゲー!!」
 
青々と繁る芋の葉にうさぎさんが歓声を上げる。その横で、髭さんと本田さんは慣れているのか長靴、腕カバー、首にはタオル装着、麦わら帽子と余念がない。おまけにお二人はマイ軍手までお持ちらしい。残りのメンバーも同じような格好になる。
 装備完了後、婆ちゃんが芋掘り機で畑を軽く返し、出てきた芋を収穫用のコンテナに入れていくという地道な作業に入る。出てくる芋虫にうさぎさんが無邪気に大騒ぎし、その芋虫の大きさをハンバーガー君と競い始めたのを本田さんが微笑ましげに見つめ、額の汗を拭う。眉毛さんは反対にそれに顔を顰めていた。その横で髭さんがアキ婆に芋の調理法を作業をしながら訊いていて、アキ婆が顔を赤らめつつ、レシピを披露している。髭さん、脱がなければ、それこそ仏映画に出てきそうな優男のイケメンだしなと思いつつ、俺も作業に励む。
 
「日本の芋は変わってるな」
 
「変わってますか?」
楕円形の表皮の赤い芋を手にムキムキさんが言う。
「ウチはじゃがいもが主流だからな。形も似たようなものばかりだし、色も白か、少し黄色味がかったものが多いな。この前、紫色のものを見た」
「紫芋ですね。製菓用に栽培されてるみたいですよ」
「お前の店にも並んでいたな。モンブラン風の芋のケーキは美味かった。兄さんは芋羊羹を絶賛していたぞ」
「ありがとうございます。…ってか、ギルベルトさんも羊羹、飽きないですねぇ」
「兄さんは飽きっぽいんだが、食い物に関しては一度ハマッたブームはなかなか、去らなくてな。羊羹の前はホットケーキーがマイブームで何枚焼かされたか解らん」
「ご愁傷様です」
ムキムキさんとそんな会話をしていると、「ぎゃー!」と眉毛さんの悲鳴が上がった。視線を上げれば、ズボンにインしたシャツを引っ張りだし、バタバタし始める。それをニヨニヨと眺めるハンバーガー君とうさぎさんさん…。それを見やり、ムキムキさんが眉間に皺を寄せ、溜息を吐き、立ち上がった。
 
「兄さん、アルフレッド、何をやってるんだ!!」
 
どうやら、眉毛さんの襟首にハンバーガー君が芋虫をINしたらしい。眉毛さんがスゲー涙目になっている。…ってか、眉毛さんもいじられキャラだな。気の毒に。見ているとムキムキさんがふたりの襟首を猫のように摘み、持ち上げ畦へと移動する。正座させられ、ガミガミとムキムキさんの説教が始まる。しょぼしょぼしょぼーんと見る見るうちにうさぎさんとハンバーガー君が小さくなっていく。眉毛さんのフォーローには本田さんと髭さんが入っていて、俺の出番はないようだ。
「すみません。迷惑かけて」
「あら、いいのよ。手伝って貰ってるんですもの」
アキ婆にフォーローを入れていると、ププーと軽ワゴンが畦道をやってきた。降りてきたのは、長女のあかりさんだ。
「お母さん、皆さん、お昼ごはん持って来ましたよ!」
あかりさんのありがたい言葉に説教は中断され、露骨にうさぎさんとハンバーガー君が喜ぶが、ムキムキさんが釘をさすのを忘れなかった。
「兄さんもアルフレッドも全然、働いてないだろう?昼からは真面目にやれ。やらなかっったら、おやつは抜きだからな」
「解ったぜ。そんなに怒んなよ~」
「おやつ抜きはひどいんだぞ!」
「酷くない」
髭さんによると、このメンツの中で一番の年下はムキムキさんなんだとか。…傍から、やり取り見てると、どっちが年下なんだか解らなくなるな。…本当に。
 
 さて、お楽しみの昼ごはんは具だくさんの豚汁、シンプルな塩むすび。アキ婆が漬けたぬか漬けと高菜漬け。山盛りのガネ。ガネって言うのは九州南部の方言で芋のかき揚げのこと。子どものおやつにも最適な一品だ。これが、美味い。畑で食うメシの美味さはまた格別だ。
 
「美味しいですねぇ。このぬか漬けが絶品ですよ」
「ありがと。私の母の代からの糠床なのよ」
「それは年季が入ってますねぇ。後、このガネも美味しいです。豚汁も甘めですが、九州の出身なんですが?」
「そうなんですよ。桜島が有名なところから、嫁いできたの」
「豚汁が甘いのは初めて食べたけど、美味しいね。具材の甘みが引き立つ感じがするね」
髭さんが言う。
「私の地元では豚汁にざらめをいれるのが普通だったから、こちらに来て、入れないと知ってびっくりしたわねぇ。お父さんには最初、お前の作るご飯は全部、甘いって怒られちゃったわ」
食べ物談義に花咲く。アキ婆の地元では普通は砂糖を入れない料理に砂糖を使うことが多いらしい。ガネにも砂糖を入れるそうだ。
 
「豚汁うめー!!ガネ、うめー!」
「おかわりなんだぞ!」
 
あっという間に鍋いっぱいにあった豚汁も大皿に盛られたおにぎりもガネもお漬物もなくなる。あかりさんが「もっと作ってくればよかったわねぇ」と零すほどの食欲に驚くばかりだ。
 
 食後の休憩が終わり、作業再開。うさぎさんが、腹ごなしに競争を持ちかけてきた。
 
「一時間でどれだけ収穫できるか、皆で競争しようぜ!」
「いいですよ」
「受けて立とう」
「お兄さん、負けないよ?」
「HAHAHAHA!受けて立つんだぞ!!」
「面倒臭ぇが乗ってやる。…で、何、賭けんだ?」
 
眉毛さんの言葉に言い出しっぺのうさぎさんがうーんと腕を組んだ。
 
「…負けた奴は、ねこの三角の新作ケーキ、いちごフロマージュワンホール買って、皆に振る舞うってのはどうよ?」
 
ねこの三角はこの前、俺が本田さんとうさぎさんとムキムキさんを連れて行ったケーキ屋さんの店名だ。ちなみに店名の由来は猫の顔が三角だから。パテェシエさんが猫好きを隠すのを止めたらしく、最近の店内は猫グッズ塗れになっていた。そのうち、喫茶スペースが猫カフェになるんじゃないかと俺はwktkしている。
 
「いいね」
 
と、言う満場一致の賛同を得て、それぞれの畝に空のコンテナを配備し、ムキムキさんが腕時計のアラームをセットし、芋掘り競争が始まった。
 
「アーサーには負けないんだぞ!」
「ハン!吠え面かかせてやるぜ!」
 
闘志を燃やしているひとが、ふたり。髭さんが「またか」苦笑する。バチバチ火花を散らすふたりはさておき、作業に入る。慣れているのか、本田さんと髭さんのコンテナの積み方が早い。意外にも堅実な作業でコンテナをいっぱいにしているのはうさぎさん、真面目にこつこつとやっているのはムキムキさんと眉毛さんで、勢いで作業を進めるのはハンバーガー君。何か、性格出てるなと思いつつ、俺も負けじと芋を掘る。皆が自分のペースで黙々と作業に励んでいるとアラームの音が鳴り響き、顔を上げた。
 
「集計を始める」
 
ムキムキさんが畝に並んだ芋が満載になったコンテナの数を数える。
 
本田さん、髭さん、五箱。
ムキムキさん、四箱。
俺、うさぎさん、三.五箱。
眉毛さん、三箱。
ハンバーガー君、二箱…。
 
「お前の負けだな」
「Booooooooooo!!」
 
ハンバーガー君からブーイングが上がるが負けは負けである。ハンバーガー君の肩を眉毛さんが実に爽快な顔をして叩いた。
 
「俺に勝とうなんざ、千年早いわ!」
「ムキー!!リベンジを要求するんだぞ!!」
 
悔しそうに地団駄を踏むハンバーガー君をまるっと無視して、ムキムキさんは軽トラにコンテナを積み始める。それを俺も手伝う。フハハハハと御機嫌な眉毛さんにムキー!となるハンバーガー君のファビョりぷりが可笑しい。それを宥め、残りの畝の芋を収穫していると、アキ婆が畦の枯れ草を集め、近くの雑木林から枯れ枝を拾ってきた。軽トラに積んでいた古新聞を使って、火を点ける。掘ったばかりの芋をアルミホイルに包んで、焚き火の中へと投下した。
 
「おお!これが伝統に則った焼き芋か!」
「そうなりますね。昔はどこでも見られた光景だったんですけどねぇ」
 
テンションの上がったうさぎさんに本田さんが懐かしそうに目を細める。芋が焼けるまで、時間が掛かるので、作業に戻る。暫くすると、アキ婆が皆を呼んだ。芋が美味しく焼けたらしい。
 
「熱いから、気をつけてね」
 
アルミホイルを剥いて、手のひらで転がしながら、二つに割る。ほくほくとした果肉があらわになる。それに食いつく。
 
「うめめー!」
「おいしんだぞ!!」
 
小学生のようにがっつく大人がふたり。それを見やる皆の目が微笑ましく見える。なんつーか、「しょうがないわねぇ」って感じ。本田さんは完全に孫を見ているような感じだ。
 
「おばあちゃん、おちゃもってきたよ!!」
 
ププーと再び、車の音に振り返れば、あかりさんとあかりさんの息子で五歳になる翔平君。車を降りて、駈け出して来ようとした翔平君は畑の真ん中で焼き芋を貪る外国人ズを見て、固まった。
「お、ぼーず、いいとこ来たな。芋、焼けてんぞ!こっちに来い」
手招きするうさぎさんにおっかなびっくり翔平君は寄ってくる。うさぎさんの横で芋を食ってたムキムキさんにびびりつつ、コンテナをひっくり返した即席の椅子の上に腰を下ろした。
「ほら、食え。お前の婆ちゃんの芋、美味いぞ」
うさぎさんは焚き火の中から搔き出した芋のアルミを剥いて、半分に割って、翔平君に差し出し、笑う。それに釣られたか翔平君も笑い、うさぎさんから芋を受け取ると頬張り始めた。
「おー、流石、子育ての成功者は子供扱いが上手いやね」
髭さんの言葉に、眉毛さんが太い眉を寄せ、ムキムキさんが複雑そうな顔をした。本田さんはそれをニコニコと眺めている。ハンバーガー君はおかわりの芋を焼くのに余念が無いようだ。それを見やり、髭さんが口を開く。
「この芋でスイートポテト作ったら、美味しいかもねぇ」
「いいですね。是非、ご相伴に与りたいです」
「俺も!俺も!」
「俺も食べたいんだぞー!!」
芋を食いながら漏らした髭さんの言葉に本田さんが賛同し、食いしん坊のふたりが集る。その横で、翔平君がじいっとムキムキさんを見つめている。怖くなくなったらしい。それに居心地悪げにムキムキさんが身動いだ。
「…何だ?」
それに耐え切れなくなったムキムキさんが口を開く。
「メリーゴーランドしてください!」
キラキラと目を輝かせ、翔平君がムキムキさんに言う。ムキムキさんは眉を寄せた。
「メリーゴーランド?」
「メリーゴーランドって、腕にぶら下がって、ぐるぐるするやつ?」
俺が聞くと、翔平君はこくりと頷いた。
「おとーさんにやってもらうんだけど、すぐにヘバっちゃうの」
ムキムキさんならバテないと思ったのか、ムキムキだからか。子どもの期待に満ちたキラキラ光線の視線に負けたムキムキさんがしゃがんで、翔平君に腕を差し出さす。それに嬉々として、翔平君がしがみつく。
 
 ぶわっと、軽々、五歳児の体が宙を舞う。「きゃー!」と言う歓声に何事だと、皆が視線をくれる。「おお!」と漏れる声が聞こえる。
 
 ゆるやかに回転を止めたムキムキさんが翔平君を着地させると、うさぎさんとハンバーガー君がすっ飛んできた。
「ヴェスト、今の俺にもやれ!」
「ルイス、今の面白そうなんだぞ!俺にもやるんだぞ!」
あんたら、いい年した大人ですよね?…俺が突っ込もうか迷っていると、ムキムキさんは大きな溜息を吐いた。
「藪まで投げ飛ばしても構わないならしてやるぞ、兄さん。それとアルフレッド、兄さんは軽いからまだいいが、お前はな…」
うさぎさんをバサリと躱し、態とらしく嘆息し、ムキムキさんはハンバーガー君の腹回りを見やる。
「ひどいんだぞ!」
ハンバーガー君がまたもや、ムキーとなる。…やれやれ、今日は喜怒哀楽忙しい一日だ。
 
 
 
 
 
 
 収穫したコンテナを軽トラに積み、畑を撤収。アキ婆と共に戻れば、広い庭先は炊き出し状態になっていて、何事だと駆けつけたご近所さんも集まり、プチ宴会状態になっていた。準備が出来るまで時間が掛かるから、お風呂をどうぞと勧められ、トモ爺ご自慢の広い露天風呂に皆、ハイテンションで入浴。風呂後、お疲れさん会は交流会みたいになった。髭さんに近所のおばちゃん達はメロメロ状態(脱がなきゃ、髭さんはイケメンだからな…)、眉毛さんは戦時中海軍に仕官していたと言う爺さんと何やら意気投合し酒を酌み交わし始め、ハンバーガー君は出される食べ物を美味しそうに食べて、婆ちゃん達を和ませ、本田さんはアキ婆から糠床を分けてもらって、漬物談義に花を咲かせている。ムキムキさんは翔平君他、近所の子ども達に取り囲まれ困惑しつつも少し嬉しそうだ。そんな、ムキムキさんを眺めるうさぎさんの目がやさしい。
 
(連れてきて、良かったな)
 
そんなことを思いながら、脱ぎだしそうな酔っぱらい二人を回収し、お礼を言い合い、日当は楽しかったからと皆が辞退した。その代わりにお土産を沢山頂き、
 
「また、来てね!」
 
の言葉に見送られ、帰途に着いたのだった。
 
 
 





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