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「Axis Powers ヘタリア」の二次創作を扱う非公式ファンサイト。
19 . May
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26 . February


シリアスの反動で、どうしようもないシモいお話。

初夜らしいのですが、お兄様は弟に何か言いたげです。
…こんな独と普の馬鹿話があるのはきっと、ウチだけだと思われ…。

ドイツのSM云々はネットで拾ってきました…怖い世界だぜ…。








拍手[47回]






晴れて、恋人同士になりましたが、良く出来た弟にお兄様が物申すようです。

 
 

ドイツの二人で寝ても充分幅のあるベッドの上、何故だか正座したプロイセンとドイツは膝を付き合わせ対峙していた。
「…お前に確認しておかなければならないことがある」
いざ、初夜。押し倒したいという衝動を堪えるのに、一苦労。兄に命令口調でそう言われると、師でもあり、父でもあるプロイセンにドイツは逆らうことは出来ない。ドイツは神妙な顔をして、プロイセンの顔を窺った。
「何だろうか?兄さん」
プロイセンは仰々しく咳払いすると口を開いた。
「お兄様はノーマルです」
「…知っている」
そう解ってる。プロイセンは女性が好きだ。それも自ら、巨乳好きだと言って憚らない。雑誌のグラビアを開いて、まじまじと「いいおっぱいだと思わねぇ?」…と、自分に同意を求めてくるのだから。確かに魅力的だとは思うのだが、自分にとってそれを見てにやけているプロイセンの方が可愛いと思うのだから、かなり自分は末期だとドイツは思う。
「そして、ゲイでもありません」
「ああ」
解ってる。解っているが、プロイセンはこの期に及んで何を言いたいのだろうか。じりじりと焦らされているようなむず痒さと足の痺れも限界でドイツはプロイセンは睨んだ。
「だけど、俺はお前のことがちゃんと好きだし、愛してる」
プロイセンにそう言われるのは嬉しい。嬉しいが早く、コトを先に進めたいと身体は切に願っているが、どうにもこうにもプロイセンの話は長そうである。ドイツは心の中、溜息を吐いた。
「…ああ」
「俺が女役ってのは、まだ納得してねぇけど、今回はそれには目を瞑ってやる。…俺が確認しておきたいのは、お前がベッドの下に隠してる怪しい玩具、まさか、俺に使おうなんて思ってないだろうな?」
にっこりと微笑んだプロイセンの目は笑ってはいない。ドイツの背中を冷たい汗が伝った。
「何故、兄さんが知ってるんだ?」
ドイツは視線を逸らすことも出来ず、プロイセンの赤を見つめ返した。
「お兄様はお前のことなら、何でも良く知っています。…で、どうなんだよ?」
丁寧な言葉遣いが瞬時にして等閑になる。ドイツはそれに身構えた。これはプロイセンが自分を詰問するときの常套手段なのだ。
「…それは…」
「んー?」
「…その」
「ああ?」
「…そのだな」
「アン?」
「あれはその…」
「グダグダ言ってねぇで、ハッキリしやがれ!!」
言い訳を探し、言葉を濁すドイツに気の短いプロイセンの雷が落ちる。ドイツはびくりと肩を竦めた。…本能的にこういうときのプロイセンは怖い。軍に居る頃は、新人兵卒の教官をプロイセンはしていた。ミスを犯し、それを誤魔化そうものなら、容赦なく平手が飛んできたことを思い出す。…それは痛かったし、怖かった。プロイセンは鬼教官そのものだった。そして、プロイセンほど頼もしく、慕われていた上官もいなかった。叱るのも上手ければ誉めるのも滅法上手かった。飴と鞭の使い方が本当に絶妙なのだ。そのプロイセンが振るうのは今は鞭だ。ドイツは身を竦めた。
「…使ってみたい…と、思ってる」
正直に言うしかあるまい。ドイツはプロイセンを窺う。プロイセンは険しい顔をしたまま、溜息を吐いた。
「…女役は譲歩してやるが、お兄様は踏ん縛られ、蝋燭垂らされたり、鞭でぶたれて悦ぶ危ねぇ趣味は持ち合わせてねぇんだよ!!」
「な、SMとは支配するものとされる側の精神的関係をいうのであって SMとは【~30分くらい熱くSMについてドイツが説明…以下略…~】…なんだ。SMというと、鞭だの、蝋燭だのは、ロープなどで身体を拘束したりと言うイメージだが、それはプレイの一環だ。 「痛い、熱い、恐い」といった先入観があるが、SMは精神的つながりをベースとした上で、 成り立っているものなんだ。この精神的信頼感がないと、プレイは単なるイジメや暴力となってしまうだろう。俺は…」
長々とドイツが語る言葉にプロイセンはげっそりとした顔をする。
(…ああ、俺の可愛い、蝶よ花よと育てた可愛い弟はどこに行った?)
こんなことを熱く語られれば語られるだけ、プロイセンはドン引きしていく。反対にドイツの口は会議のときのように饒舌に動く。それぐらい愛を語って見やがれとプロイセンは思うが、人には向き不向きがある。…しかし、SMを熱く語ったところで自分が理解し受け入れ、「ja」と素直に頷くとでも思っているのか。答えは「Nein」だ。
「SMプレイとは、2人の間に、強固な精神的信頼関係があって初めて成立するものなんだ」
そんな信頼関係、嫌だ。…と言うか、必要ないだろ。今のお前と俺に信頼関係はないとでも?…ああ、俺、早まったか?!…しかし、ここでドン引きしている場合じゃない。兄として弟の目を覚ましてやらねば。…妙な使命感に燃え、プロイセンはドイツの言葉を遮り、口を開いた。
「…説明はもういい。…つーか、箱に入ってるバイブにディルド、ローターは何に使う気だ?まさか、俺に突っ込みたいなんて言わないだろうな?アア?!」
据わった目を向ければ、ドイツは明らかに狼狽したように視線を泳がせた。
「…それは、ちょっと、興味があってだな」
「…興味ねぇ。お兄様で試したいってか?」
「…ja」
こくりと恥らうように頷いたドイツにプロイセンははあと深い溜息を吐いた。…線引きはやはり必要だ。許せることと許せないことがある。ドイツは多分、自分が折れてくれるだろうと高を括っているのだろうが、冗談ではない。何が楽しくて、弟に鞭で打たれたり、縛られたり、有り得ない太さのおもちゃを突っ込まれないといけないのだ。ドイツのだって…もう何と言うか、男として精神的にダメージを食らった太さと長さに……相当な覚悟をしたのだ。それ以外までなどまったくもって冗談ではない。

「んな真似働いてみろ!家、出て行ってやる!!」

眉間に思い切り皺を寄せ、プロイセンは怒鳴り、ドイツを睨む。睨まれたドイツは青い目を細めた。
「…出ていく?…兄さんに帰る家などないだろう。フランスやスペインのところにでも潜りこむつもりか?それは相手方に迷惑になるから、やめてくれ。外交にも支障を来すようなことになっては困るからな」
冴え冴えと冷たい青が口元に酷薄な笑みを浮かべ、プロイセンを見据える。どうやら、何かのスイッチを押してしまったらしい。イタリアならばそれにすぐさま、白旗振って逃げ出すだろうが、元軍事国家であるプロイセンが教え子であり子であり、弟であるドイツに怯むはずもない。怯むどころかプロイセンは哄笑した。

「あるぜ。お前、忘れてねぇか?」

プロイセンの高飛車な態度にドイツは眉を顰める。この兄にこの家以外に身を寄せる場所があろうか?…いや、あるはずがない。プロイセンは既に国ですらなく、ドイツの為だけに生きているのだ。その兄にここより他に行くべきところなどあるはずがない。兄お得意のただのはったりだろう。…ならば、なし崩しだ。上手いこと丸め込んで調教してしまえば良い。悪魔がドイツに囁く。ドイツは口角を少しだけ上げ、改めて、プロイセンを見やった。
「あなたにここ以外に帰る場所があるとは初耳だ」
ドイツの伸びて来た腕にプロイセンは反射的に身を捩るが、現役と元現役では体力に差が有りすぎる。ふわりと新しいシーツの匂いが鼻を掠め、プロイセンは焦るがここで怯んではなし崩しになってしまう。是が非でも今後の我が身のためにも主導権は握らなければ、この先、お先真っ暗だ。…プロイセンは自分を叱咤し、敢えてニヤリと不適な笑いを浮かべ、目を細める。娼婦が客を誘うような仕草でドイツの頬を撫で、耳元、唇を寄せた。

「ロシア領カリーニングラード」

ついでに息をふっと吹きかけてやる。その言葉に服を剥がしにかかっていたドイツの指先はぴたりと止まった。
「ロシア、俺のこと大好きだからな。未だに、僕のものになってよ。なんて、会うたびに言いやがるしな。あいつ、あれで大型犬だと思えば可愛いし、もふもふしてて触り心地悪くねぇし、アイツのもんになるのも悪くねぇかもな。お前みたいに俺に無体なことはしねぇだろうし?」
ロシアが自分に向ける感情は純粋な家族愛的な何かで、ちっとも疚しくない。姉、妹に挟まれて育った所為か、おっとりとしているし、まあ時々恐ろしいこともあるが、国の問題が絡まなければ怖がる程でもない。…別にロシアのものになったって自分は構わないのだ。心臓はそこにあるのだから。でも、ドイツが自分を好きだと必要だと言うから、ここにいるだけに過ぎない。好きだから抱きたいと言われて、覚悟までした。だが、ドイツの趣味嗜好に付き合うのとそれとはまったくの別問題だ。…するっとすべらかな頬を指先でひと撫でし、固まってしまったドイツをプロイセンは見上げる。最後の切り札を切った。これで主導権が握られなければ、ロシアに行くか、なし崩しになるかだ。…さて、弟はどうするか?
「…な、」
ドイツは絶句し、青ざめた顔でプロイセンを見下ろした。
「別にお前とセックスするのが嫌だって、俺は言ってるんじゃないぜ?…お前の趣味嗜好にとやかくいうつもりもない。ただ、俺は普通がいいんだよ。…ま、俺とお前は男だから、ちょっと普通じゃないけど、それに更に普通じゃないものは俺の要領を超える。突っ込まれて痛いのはお前のだけで結構。それ以上、我慢しねぇし、お前が無理強い働くってんなら、ロシアに行くか、最悪、消えてやる。さあ、選べ。弟よ、嗜好を取るのか、お兄様を選ぶのか?どっちだ?」

「…………に、兄さん、だ。……もう、馬鹿なことは言わない。だから、ロシアに行くとか、消えるととか言わないでくれ…」

どうにかこうにか、プロイセンを失うことより、自分の性癖を抑制することにしたらしい瞳を潤ませたドイツがプロイセンの胸に縋り付いて来る。…ああ、我ながら、この辺の躾は良く出来たな…と、自分で自分を誉めると、プロイセンは笑みを浮かべ窺うように上がったドイツの目尻を拭った。
「愛してるぜ、ルッツ。お前は俺を選ぶと信じていた!明日は幸い、ゴミの日だったよな?…捨てろよ?」
念を押すのをプロイセンは忘れない。
「………捨てなければ、駄目か?」
躊躇うような素振りを見せるドイツにプロイセンは目を眇め、口端を引き上げる。

「ロシア領カリーニングラード」
 



「解った!捨てる、捨てるから、それだけは絶対にやめてくれ!!」
 




こうして、何とか弟の性癖から逃れることに成功したお兄様だった…。
 
 





全然、初夜じゃない!!騙された!!…って、思った皆様、正直すまんかった…。





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