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「Axis Powers ヘタリア」の二次創作を扱う非公式ファンサイト。
19 . May
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30 . July
コンビニもとうとう、二十話ですよ!
…こんなに続くとは思ってなかったよ。






拍手[21回]



ファミレスにて、アラスカのお話。


 夏期講習が午前中で終わり、帰宅途中、ハンバーガーくんとうさぎさんに遭遇した。今から、ふたりで遅い昼飯を食べに行くところだと言う。財布の中身は今日は大丈夫なのかと尋ねたら、
「最近、臨時収入が入ったから、リッチだぜ。今日は俺様がおごってやるぜ」
と、太っ腹なうさぎさんさんと、
「じゃあ、ファミレスに行こうじゃないか!」
と、ご機嫌なハンバーガーくんに引きずられ、程なく近いファミレスに入った。それぞれ、注文を済ませ、ドリンクを取りに行って料理が来るまでの間、お互いの近況から雑談になった。
「ギルベルトさんとアルフレッドさんは仲がいいですね。よくつるんでるし」
「ん?まぁな。こいつとは結構、昔からの付き合いだしな。弟みたいなもんだ」
「弟?」
「まあ、弟って言うよりは、弟子みたいなもんになるのか」
「そんな感じなんだぞ。ギルには独立戦争の時、お世話になってさ」
ハンバーガー君が言う。
「独立戦争に何で、ギルベルトさんが関係してるんですか?」
確か、独立戦争ってアメリカ・フランス・スペイン対イギリスって感じで、プロイセンは関係してなかった気がするんだが…。
「それはな、ウチの親父がイギリスから独立しようって言うアメリカに肩入れしててな。ウチはオーストリアとの戦争が終わったばっかだったし、表立ってイギリスと揉めたくなくてな。こっそりと俺をアメリカに派遣した訳だ」
「ギルベルトさんはアメリカに何しに行ったんですか?」
俺は訊ねる。ニヤリとうさぎさんは口端をつり上げた。
「アーサーの野郎は七年戦争時は味方だったけどよ、札束で頬を叩かれるような扱いだわで、内心、ムカついてたんだよな。そしたら丁度、アメリカに渡ってた元部下からの民兵錬成の為に招聘を受けたんで、アーサーに地団駄踏ませてやる為の軍隊を、嫌がらせに作ってやろうと思ってな。でも、コイツんとこの軍はお話にならないぐらい当時はへっぽこでな。兵は武器の扱いも知らないド素人、武器が農具とかマジ有り得ねぇし、そんなんでよくアーサーに喧嘩吹っかける気になったバカのツラを一度拝みたいと思ってよ。俺様が直々に参じてやった訳だ」
「………」
うさぎさんの極悪な笑みにビビる。ハンバーガー君が思い出したのか、少し青褪めた顔をしてる。
「ギルベルトの訓練は半端なくて、本当、怖かったんだぞ」
「…何となく、解る気がします」
この話を訊いて、ネットで独立戦争について少し調べたら、うさぎさんの言うとおり、民兵はド素人の集団。軍服もまともに着れない有様だったらしい。それをスパルタもいい感じに、罵声「ちんたらしてんじゃねぇ!まともに服も着れねぇのか!とっとと整列しろ!このクズ共が!」→訓練(かなりきつい)→罵声「何度言ったら、出来るようになるんだ?この間抜けどもめが!」→訓練(ほとんどシゴき)のリピートでまともに機能するように叩き上げたらしい。そうなって、やっと戦果を上げ始めたとか。…平和にどっぷり浸かった俺には耐えられない!…だった。羊羹サバゲーで、うさぎさんの元軍国たるその片鱗は見ているし、ちゃらちゃらと子供っぽいところは見せかけで、うさぎさんは本当は怖いひとだ。敵に回してはいけないと思う。…ってか、前に髭さんと親分さんが言ってた「ギルベルトは昔はホント、怖い男だったのよ。今じゃ、考えられないけど」、「ギルはほんま、昔に比べると大分、丸くなったで~。今はホント、まんまるさんや~」の、言葉はマジだったのだと思う。
「…ってか、普通、俺もあそこまでシゴかねぇよ。アルフレッドんトコは基礎どころか素地すら無さすぎだったんだよ。余程、アーサーの野郎は何も教えず、お前を庇護下に置いたままにしときたかったんだな」
「だと思うよ。…でもまあ、ギルベルトのお陰で今の俺がある感じだよ。フランシスもアントーニョも味方だったけど、戦い方を俺に教えてくれた訳じゃなかったしね。あわよくば、アーサーに成り代わろうって感じだったしね」
そう言う訳で、うさぎさんとハンバーガー君は仲がいいらしい。
「そんなに仲良しだと、アーサーさんが妬きますね」
うさぎさんとハンバーガー君は気が合うのか本当に、仲がいい。しょっちゅうつるんでるし、仲良くTVゲームに興じてるし、食べ歩きに連れ立って出かけている。それを遠くから羨ましそうに見ているのが眉毛さんだ。それに気づきつつも、ハンバーガー君は思い切りシカトしている。
「アーサーはね、ウザいんだよ。いつまでも、俺は小さな子どもじゃないんだから、世話焼きたがるのやめてほしんだぞ」
「そーは言うが、アーサーに構われなくなっったらなったで、寂しいクセによー」
「寂しくないんだぞ!清々するんだぞ!!」
ハンバーガー君がムキになって否定するのをニヨニヨとうさぎさんが見やる。なんつーか、うさぎさんがハンバーガー君を見る目は手のかかる弟を見る目だ。ムキムキさんといるときはまた違うけど。…俺にも兄貴がいるが、年が離れすぎてて、遊んでもらった記憶なんかないし、仲もすごくイイって訳じゃないので、うさぎさんとハンバーガー君の関係が少し羨ましい。
 
 色々、語ってる内に注文した料理が運ばれてきて、それぞれ食べるのに専念する。
 
 
 
 
 あらかた食べ終えて、皿を下げてもらって、ドリンクバーを取りに立って、落ち着いたところで俺は最近、知ったことをハンバーガー君に訊いてみた。
 
「アラスカって、元はロシア領だったんですね。俺、全然、知らなかったです」
 
昔はカナダの一部なんだと思ってた。アメリカ領だと知って、何でカナダ挟んで、アメリカ領があるんだろうと不思議に思っていたのだ。
「ウン、前はロシア領だったんだよ。毛皮交易のために植民地化してたんだけど、輸送費のほうが高くつくし、ロシアは財政難で、お金が欲しかったみたい。…当時、ロシアはクリミア戦争でも敵対したイギリスとの間に揉め事も抱えていて、イギリスとの紛争でアラスカを失うことを恐れていたんだよね。アラスカと国境を接してるカナダは独立してなくて、イギリスの支配下にあったしね」
ちなみにカナダは連邦立憲君主制国家。首都はオタワ。アメリカ合衆国と国境を接する。イギリス連邦加盟国であり、英連邦王国の1国。主権国家として独立したのは1982年。意外に近年で驚いた。
「へー。でも、どういう経緯で、アメリカ領になったんですか?」
「財政難でお金は欲しいけど、戦争で揉めたアーサーに売りたくないし、アーサーにアラスカを紛争で取られるくらいなら、俺に売却しようってなったんだぞ」
「売りつけられたんスか」
「売りつけられたって言うか、「買わない?」って、ロシア、イヴァンに持ちかけられたんだよね。俺相手じゃ、アーサーも露骨な口出し出来ないだろうってさ。議会でも、あんな不毛な土地、いらないって大揉めしたんだぞ。結局、買うことになって、1エーカー (4,000 m2) 当たり2セント、総額で720万ドルで購入したんだ」
後で俺が調べたところによると、当時のドルの価値は1871年円-USドルの為替が開始した時の相場は何と、1ドル1円。720万円で購入したのかと思うと吃驚だ。でも、当時の日本の一円の価値は今の金額に換算すると1200円くらい。八十億円くらいで購入したことになる。八十億円でも、コレって凄く、お買い得だったんじゃなかろうか。
「巨大な保冷庫を購入したって、国民には叩かれまくりだったんだけど、結果オーライで金鉱は見つかるし、資源は豊富だって解ったし、冷戦期には重要な軍事拠点として重要な役割を果たしてくれたし、お買い得だったよねぇ。んで、イヴァンは売ったことを思い切り、後悔してるみたいだけどね!」
「確かにお買い得だな。争うこともなく、合法的に国土に加えられた訳だし」
追加で頼んだチョコレートパフェを突きながら、隣で訊いていたうさぎさんが言う。
「まあね」
ハンバーガー君が胸を張る。そんなこんなで色々とこぼれ話的な話を聞けて、中々に楽しい時間となった。気がつけばズルズルと居座ること三時間が経っていて、流石に店を出る事になった。
 
「リツは夏休み、何か、予定あんのか?」
 
支払いを持ってくれたうさぎさんにお礼を言う。相も変わらずうさぎさんはお花をつけた赤いずきんの子うさぎちゃんのがま口財布を愛用している。その財布に小銭をしまいつつ、うさぎさんが俺に訊いてきた。
「特にはないですよ」
特にはないが、夏休みに入って、サークルにも入ってない俺はバイトのシフトを増やしてもらったぐらいだ。
「んじゃ、参加な」
「参加って、何にですか?」
うさぎさんは勝手に話を進めるところがある。
「八月に入ったら、菊の知り合いのところに海水浴に行く予定なんだぞ!もちろん、リツも来るんだぞ!」
「はあ…。俺、参加してもいいんですか?」
本田さんの了承は得なくていいのか?…顔に出ていたのか、うさぎさんがニヤリと笑った。
「本田には了承済みだぜ。ぜひ、来てくださいってよ。ヴェストとフランシス、トーニョも来るし、何と、フェリシアーノちゃんも来るぜ!」
「嫌だけど、アーサーも一緒なんだぞ!」
おお、これはいつぞやの花見のようなメンツ。…きっと、何かある。
 
 
 
 一騒動起こりそうな八月は、もうすぐそこまで来ていた。
 
 
 
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