忍者ブログ
「Axis Powers ヘタリア」の二次創作を扱う非公式ファンサイト。
12 . April
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

24 . May




フォルダ漁ってたら、出てきた。一体、どんな話を書くつもりだったのか。…私。
中途半端に冒頭だけ書いて、飽きた模様を晒してみるぜ。









拍手[4回]



 午後23時。
 
 ギルベルトは駅前の広場、空きのあったベンチに腰を下ろした。次のバイトまでゆうに一時間はある。アパートに一度戻るには短く、かと言ってコンビニや深夜営業のファミレスで時間を潰すのも面倒だと思う。23時過ぎても今だ行き交う人は途切れることがない。それを眺めつつ、空腹を紛らわせる為に鞄の底を漁り、辛味ばかりが舌を刺激するミントガムを噛む。塗装の剥げかかった手に馴染んだ携帯を開けば、付き合いの長い悪友のひとりからメールが入っている。それに、返信を返して、ギルベルトは息を吐いた。
(…腹、減ったな)
ここ最近、バイト先とアパートの往復を繰り返す日々が続いている。春先にたった一人の肉親だった父親に先立たれてからは、そのことを忘れたいが為に無理矢理、余裕のないバイトのスケジュールを組んだ。本来ならば、父親が残していった遺産で食うには困らなかったし、帰る家もあったが心に広がった穴は埋まることなく、愛した父親と暮らした家は余りも思い出が有り過ぎて、思い出すともうここには居ないのだと現実ばかりが胸を穿ち、ギルベルトは住み慣れた家から遠い場所に部屋を借り、最初から自分は一人だったのだと思うことにして、一人暮らしを始めた。それに友人二人は心配そうな顔をし、理由を付けては顔を見に来るし、くだらないことで電話を、メールをしてくる。それを鬱陶しく思いながらも随分とふたりにギルベルトは救われた。…今日のこのバイトが終われば二日は休みになる。料理学校に進んだフランシスが、家業を継いだアントーニョからご自慢のトマトを大量に押し付けられ迷惑しているから飯を食いに来いというメールに明日なら大丈夫だと返信を返した。ここ暫く、まともなものは食べていないし、フランシスの作る料理は美味しい。明日になるのが待ち遠しく思えて、ギルベルトの口元がほんの少しだけ緩む。チカチカと握っていた携帯の背面ディスプレイが光り、それに携帯を開けば、待ってると言うメッセージ。それをギルベルトは眺める。そこにすっと影が立った。
「…?」
顔を上げるが、逆光で顔が見えない。随分と背の高い体格の良さげな男のようだ。ギルベルトは眉を顰め、「あ」と口を開いた。
(…この場所、ゲイのクルージングスポットだったけ?)
前に何度か、ここで時間をつぶしていたら男に何度か声を掛けられた。ここがハッテン場だったことを思いし、ギルベルトはコンビニに行けば良かったなと後悔するがもう遅い。丁重にお断りして、シフトには早いが次のバイト先へ出勤しようと意を決して口を開いた。
「…何か、用?」
「…いや、その…」
男は言い淀み、迷うように言葉を続けた。
「…誰か、待ってるのか?」
「…次のバイトまで時間あるから、暇潰してるとこだけど」
「…そうか」
どこかほっとしたように男が息を吐く。
「…先に言っとくけど、俺、売りはやってねぇし、ノンケだから」
それだけ言って、携帯を閉じる。男は今だ自分の正面に立ったままで動く気配がない。ギルベルト眉を寄せ、改めて、男を見上げる。目が大分慣れて、男の容姿が解る。どんなおっさんだと思えば、まだ随分と若い。柔らそうな金髪を後ろに撫で付け、額が露わになっている。高い鼻梁。薄いレンズ越しに切れ長の青い瞳。…自分の二番目くらいには格好良い。
(ゲイ好みな感じのムキムキだな。…視線が痛いぜ)
ちくちくとどこからともなく視線を感じる。居心地が悪い。ギルベルトは身じろいで、息を吐く。それに目の前の男はびくりと肩を震わせた。
「…まだ、何か、俺に用があんの?」
いい加減、目障りだし、周りの視線が不愉快だ。露骨に顔を顰めれば、男は悲しげに眉を寄せた。
「…兄さん、俺のことを覚えていないのか?」
「は?」
男の言葉にギルベルトは眉を寄せる。男はじっとギルベルトを見つめる。
「…あなたは、ギルベルト兄さんじゃないのか?」
「…何で、俺の名前…」
サラリーマンだと思っていた男の着衣がスーツではなく、ブレザー…学生服だと解る。鞄もカジュアルなエナメルのものだ。…年上ではなく、年下。ギルベルトは赤を瞬く。
「…お前、もしかして、ルートヴィッヒか?」
別れた母親に引き取られた、まだ幼かった弟。遠くに引っ越して会うことすら叶わず、連絡を取ることすら出来なかった。ギルベルトは男を見上げた。
「そうだ。ちゃんと、覚えてくれてたんだな。…知らないと言われたらどうしようかと思った!」
ルートヴィッヒの硬かった表情が綻ぶように緩む。その顔が随分と昔に見た弟の笑顔に重なり、ギルベルトは緊張を解いて息を吐いた。
「…すげー、久しぶり。…ってか、良くお前、俺だって解ったな?」
「兄さんを俺が忘れるわけないじゃないか。会えて嬉しい。…この近くでバイト、してるのか?」
「夜間警備員のバイトをな。お前は、こんな時間に何やってるんだよ?学生は帰る時間だろ?」
五つ歳の離れた弟は確か17になったばかりだったはずだ。眉を寄せれば、「塾だ」と言葉が返って来る。
「塾か。お前、頭、いいんだな。その制服W学園だろ?」
「座れよ」と隣を叩けば、素直にルートヴィッヒは鞄を抱え、腰を下ろした。
「家から近いから、通ってるだけだ。…兄さんは大学に行ってるのか?」
「まあ、一応な」
「そうか。…父さんは元気か?…もう、何年も会ってないけど」
再会に矢継ぎ早に離れていた間を埋めようと言葉を重ねる。
「…親父は先月、亡くなったんだ。連絡してやれなくてゴメンな」
「…いや、そうだったのか。…じゃあ、兄さんは今はひとり、なのか?」
気遣わしげに尋ねるルートヴィッヒにギルベルトは頷いた。







この後の続きは行方不明のようだぜ…。
どう話を持っていくつもりだったのか、忘却の彼方になってしまったのだった。
 
PR
NAME
TITLE
TEXT COLOR
MAIL
URL
COMMENT
PASS   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
Schalter
mail
メールアドレス記載の場合はメールにて、記載が無い場合はサイトにてお返事いたします。
P R
ACT
Powered by NINJA BLOG  Designed by PLP
忍者ブログ / [PR]