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「Axis Powers ヘタリア」の二次創作を扱う非公式ファンサイト。
19 . May
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12 . February
間に合わなかった。
…まあ、一日遅れでは有りますが、祖国の誕生日を兄さんに祝ってもらった。

いつもより更に、ラブい感じです。普日か、日普かはお好きな解釈で。




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 春には色とりどりの花を咲かせる花壇も今はひっそりと次の春を待つ、冬枯れた公園を通り抜ける。カサカサと音を立てて色づいた落葉が風に吹かれ、足元を転がってゆく道を日本とプロイセンは並んで歩く、コンビニに行った帰り道。日本は隣を歩く、プロイセンを見上げる。プロイセンはコンビニで買った肉まんを嬉々として取り出し、ふたつに割ったところで白い湯気がふわりと上がる。…美味しそうだ。自分の買ったあんまんと半分づつ、対価交換を申し出てみようかと逡巡したところで、

「ん。半分、やるから、お前のあんまんも半分寄越せ」

日本の考えを読んだように、プロイセンは手にしていた片割れを差し出してくる。にやりと笑うプロイセンは上機嫌だ。日本は肉まんを受け取り、取り敢えず、手を空かすべく、頬張る。じわりと温かさが腹に染み、温かいお茶が欲しくなる。買ってくれば良かったなぁと思いながら、腹に収めると隣からぬっとハンドタオルに包まれたペットボトルが突き出された。
「飲むか?」
「…ありがとうございます」
プロイセンのこの気遣いの細やかたるや、空気を読むことに長けた自分に引けを取らない。プロイセンがこうやって何気なくさり気なく気を遣うのはプロイセンが気を許したそれも特別に気に入っている一握りの相手だけなので、その相手の中に自分が含まれていることが嬉しくて、優越感にニヤニヤしてしまう。それをどうにか日本は堪えて、お茶を一口、飲んで、ペットボトルをプロイセンへと返す。
「よし。早く、お前のあんまん、寄越せ」
ペットボトルを袋に突っ込んで、にゅっと利き手を出してきたプロイセンが催促するのに、
「急かさなくても、ちょっと待ってください」
日本は立ち止まり、コンビニの袋からあんまんを取り出し、半分に割った。上手く半分に出来ずに偏ってしまった。日本は大きい方をプロイセンへと差し出す。
「どうぞ」
「小さい方でいいぞ」
「肉まんを頂きましたから、お腹いっぱいで。夕飯も近いですし、食べて頂ければ助かります」
「しょうがねぇな」
こんな些細なやりとりも嬉しい。日本の口元は自然と緩んだ。いつもはせかせかと足の早いプロイセンが自分に合わせてゆっくりと歩いてくれるのも、先回りして自分の要求を応えてくれようとするのも嬉しくて嬉しくて、仕方がない。こんな素敵なひとが私の恋人なのだと、全世界に向けて叫んで、自慢したいと思う。
「日本、」
「はい?」
「あーん?」
名前を呼ばれて顔を上げる。口を開けるように促されて、警戒心もなく日本は口を開ける。そこに一口分のあんまんが押し込まれて、日本はもぐもぐと咀嚼した。
「これで丁度、半分な」
笑うプロイセンに日本はその場を転げまわりたいような衝動に駆られる。それに追い打ちを掛けるように、プロイセンの指先が伸びてきて、日本の口元を拭った。そして、その拭った指先を無造作に舐めるのに、日本はカッっと頬を赤らめた。
「プ、プロイセン君っ、」
間接キスなど、何度もしてるし先だってしたが、こんな直截なのは流石に恥ずかしい。
「ん?何だ、キスの方が良かったのかよ?」
「な、」
「プッ、冗談だぜ。…ってか、ほっぺた、真っ赤でリンゴみてぇ」
絶句した日本の頬をぷにぷにと突き、ニヨニヨと笑うプロイセンに余計に日本は顔を火照らせた。
「と、年寄りを揶揄わないでくださいっ」
「揶揄ってねぇーって、爺はホントに可愛いよな!」
わしゃわしゃと頭を撫でられ、日本は眉を寄せる。
(…このひと、私が年上で物凄い爺さんだってこと時々忘れてますよね)
爺呼びするクセに、子どものような扱いをしてくる。それに困惑するものの嫌悪は無論無い。
(…無邪気で、可愛いですよね…)
初めてプロイセンに出会った時、凍てつく色をした美しいひとだと思った。畏敬の念を持って憧れたひとは存外に人懐こく、気さくで子供っぽくて、うざいくらいに自分が気に入った相手には世話を焼きたがる過保護で…、そのギャップにころりと自分はやれたのだ。
(…ああ、もう、本当に…、)
不意に前髪を掻き上げあれ、顔を上げれば、間近に赤がある。その赤が細められ、額にちゅっと柔らかな唇の感触。日本は目を大きく見開き、固まった。

「誕生日、オメデトウ」

ふにっと鼻を摘まれ、日本は我に返る。…何だ、これは?不意打ちにも程がる!

「プ、プロイセン君ッ!」

目の前のプロイセンが口端を吊り上げ、笑う。
「何だ?口のほうが良かったか?」
「そりゃあ、本当は口が良かったですけど、ここ往来ですし…って、そうじゃなくって…、ああ、もうっ、」
「じゃあ、何だ?」
「…っ、解ってるクセに!」
大人げなく頬を膨らませて睨めば、プロイセンは意に介すでもなく、膨らんだ日本の頬を突いた。ぷすりと息が漏れるのに小さく笑って、わしゃわしゃと日本の髪をまた撫でると、プロイセンは日本の耳元に唇を寄せた。

「プレゼントは俺様だ。嬉しいだろ?」

何という殺し文句だろうか。…今夜は寝かせてやるものか、朝までずっと付きあわせてやる!…年下の恋人の不意打ちな言葉に狼狽しつつも嬉しくて、ニヨニヨしてしまう日本だった。
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