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「Axis Powers ヘタリア」の二次創作を扱う非公式ファンサイト。
20 . May
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26 . January

フリードリヒⅡ世 1712年1月24日生

pixv見て知って資料見てうわーとなり、取り急ぎ。
プーの誕生日はスルーしたくせに親父の誕生日は祝うのか…。

親孝行(?)する、プー。

ちょっと遅れましたが、

「An einem Geburtstag, Glückwunschen.Zeugen Sie!!」







拍手[26回]



 
 
ダンッ!!
 
大きな音を立てて開いたドアにフリードリヒは眉を寄せ、書類から顔を上げた。ノックも無しに入ってくる無礼者は、
 
「何の用だね?プロイセン」

傍若無人な我が国の具現化だという青年に他ならない。プロイセンは無言でつうかつかとデスクの前までやってくると、ニカッと子どものように笑い、デスクに積み上げられた書類を広げた両腕で一網打尽に叩き落としてしまった。それを呆然とフリードリヒは見やる。プロイセンはフリードリヒが手にしたままの書類と羽根ペンを取り上げた。
「何をするんだ!!」
我に返ったフリードリヒは顔を上げ、プロイセンを睨んだ。
「何するんだじゃねぇよ。今日は俺様が親父を甘やかす日に決定したんだよ。だから、仕事はするな!」
「何を言っているのか、さっぱりだな。私は仕事を、あ、こら…何をする!!」
溜息を吐いて、フリードリヒが叩き落とされた書類を拾おうとすれば問答無用とばかりに、プロイセンはフリードリヒの身体を担ぎ上げた。
「よっこらせ、っと」
「プロイセン、下ろさぬか!!馬鹿者が!!」
「イヤだね!!…じゃあ、お前ら、後、任せたぜ!」
部屋の前に控えていた大臣と官吏たちにプロイセンは声をかける。
「お前たち、プロイセンをどうにかせぬか!!」
フリードリヒは大臣と官吏たちを睨むが、大臣も官吏も恭しく頭を下げるばかりだ。
「申し訳ありませぬ。国家殿が邪魔をするなと申しますので」
「王の私の言うことが聞けぬのか!!」
「はあ。ですが、国家殿が、」
 
「王は国家第一の僕なんだろ。俺様の方がお前より偉いってお前が言ったんだぜ」

「…と、仰せになりますので、我らとしても国家殿を御止めすることが出来ませんで」
「……な、そう言う意味で言ったのではないわ!!離せ、プロイセン、この馬鹿者が!!」
「嫌だって言ってるじゃん。んじゃ、お前ら、後、任せたぜ!」
「御意」
大臣と官吏を見やり、暴れるフリードリヒを担ぎなおすと、プロイセンは意気揚々と歩き始める。フリードリヒは暴れるが、プロイセンはびくともしない。
「プロイセン、これはどういうことだ!?それより、下ろさぬか!!」
「下ろしたら、お前、逃げるだろ」
「当たり前だ。馬鹿者が!!大体、私が何のために」
「俺のためだよな。でも、お前、あんま寝てないだろ。忙しいのは解るけどよ、お前には長生きして欲しいんだよ。だから、無理すんな」
「別に無理などしておらぬ」
「お前はすぐそう言う。今日一日くらい仕事サボったって支障ねぇだろ。俺様を構え!!今日は俺様を構う日、決定!!答えは、ja!しか認めねぇからな!」
「…プロイセン、お前、先程、私に言ったことと矛盾してないかね?」
プロイセンの肩の上、フリードリヒはぼやく。…もうすでに仕事を続行することは諦めている。言い出したら訊かないのだ。この我が国は。…仕方無しにプロイセンの肩に担がれたフリードリヒは溜息を吐いた。
(…しかしまあ、国の具現化とは不思議なものだな)
出会った頃は16~17だった少年は今や、20代の青年の外見にまで成長し、痩せていた身体は僅かに肉が付き、それなりの体躯となってきた。…見掛けは成長がしたが、精神年齢の方はさっぱりだな…と、失礼な、プロイセンが聞いたなら憤慨しそうなことを思いつつ、フリードリヒがプロイセンの肩の上、揺すられていると揺れがぴたりと止まった。
「ま、入れよ」
下ろされて、開かれたドアの向こうはプロイセンの私室である。初めて入れるな…そう思いつつ、足を踏み入れた部屋は自分の私室と変わりなく質素だ。ただ言うならば、所狭しと雑多なものが積み重ねられ、天井高くまで積み重ねられたいつの時代のものか解らない古書や、小さな葉の入った琥珀が無造作に何枚にも重なった書類を押さえていたり、年季の入った剣が抜き身で無造作に壁に飾られていた。それをしげしげとフリードリヒは物珍しげに眺める。
暖炉には火が入り、室内は暖かい。プロイセンはフリードリヒに椅子をすすめ、小作りなテーブルを出すと、準備しておいたらしいカートを引き寄せた。そして、カートの上のポットに湯を注ぐと懐中時計を取り出し、時間を計る。その懐中時計は以前、フリードリヒがプロイセンに贈ったものである。プロイセンはきっちり二分半図ると時計を仕舞い、優雅な仕草でカップへと茶を注いだ。マイセンのカップからは茶葉の柔らかな香りが立ち上り、その香りにフリードリヒは目を細めた。
「…ほう」
「何だよ?」
「お前がお茶を淹れられるとは知らなかった」
「イギリスのとこで飲んだ茶が美味かったんで褒めたらよ、嬉々として淹れ方教えてくれたんだよ。んで、茶の葉も分けてもらった。イギリス程、多分、美味くねぇぞ。期待するなよ。お前、いつもコーヒーばっかだからたまには、茶もいいだろ」
「…ああ。そうだな。良い香りがするな」
「何かすげー希少な茶の葉なんだと。味わって飲めよ。んで、お茶請けはこれな。お前、さくらんぼ好きだろ。さくらんぼのブランデー漬けを坊ちゃんとこで買ってきて、シュヴァルツベルダー・キルッシュ・トルテ作らせたんだぜ!」
「…お前、一人でオーストリアに行ったのか?」
聞き流せない言葉を訊いてしまった。カップの取っ手を持ち上げたフリードリヒはプロイセンを睨む。
「……あー、えーと」
口を滑らせたと言う顔をして、睨まれたプロイセンは視線を泳がせた。それにフリードリヒは眉間に皺を寄せ、溜息を吐いた。
「プロイセン」
「あー、怒るなよ。ちゃんと普通に買いに行ったんだぜ?」
「お前の普通は信用がならん」
「ひでえな。でも、こっそり買いに行ったら、そこで坊ちゃんに遭遇してよ」
「何だと!?何も問題をおこさなかったんだろうな?」
貴族然とした青年を思い出し、フリードリヒは眉を顰める。プロイセンとは水と油と言ってもいいほど馬の合わない相手である。そして、先の敵国でもある。そんな相手の国にのこのこと出かけて行くとは…。フリードリヒは頭が痛くなってきた。
「起してたら、ここにはいねぇだろうが。さくらんぼのブランデー漬けもチョコレートもオーストリアが勧めてくれた店で買ってきたんだぜ。まあ、かなり値が張ったけどな。拘ってるだけあってアイツんとこは菓子は美味いよな」
「何を暢気な…。ったく、どうしてそんなことを。態々、オーストリアまで出向かずとも国内で購入できるだろう」
「ウチのも美味いけどよ。折角だからさ、すげー美味いもん食わせたかったんだよ」
タルトを皿に切り分けると、プロイセンはその皿を恭しく、フリードリヒの前へと置いた。
 
 

 
 
「誕生日、おめでとう。親父!!」



 
 
 
 
 
オワリ





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