キス題9 首:欲望 (ハンガリー)
pixiv で、アンタは黙って~を更新した際、キャプションに「ギルエリはマグロなギルをエリザさんが男前に攻めてると滾ります」と書いたのですが、それをやってみた。
私がNLで洪普を目指すと、こうなる。
あと、NL書きなれて奴が、書くと色っぽさの欠片もない話になることが判明した(BLも色気皆無じゃねぇか、私…)。
[11回]
体が目当て。
腹が立つほど、この男は私が欲しかった理想の体を持っている。
筋肉は均整を持って程よく付き、着痩せする所為で細くは見えるが、貧弱ではない。ピンと伸びた背骨、引き締まった腰と長い脚。しなやかな筋肉を張り付かせた腕、理想のラインを描く肩。無駄なものを削いで鍛えられた胸と腹。丸みを帯びた頭骨の形も申し分ない。それを支える伸びた首も。
何もかもが、腹立たしい。
私が欲しかった、男の体をこの男は持っている。
捩れたシーツの上、じっと真上から見下され、居心地悪げにプロイセンは身動ぎする。銀色の短い髪が僅かに揺れる。カーテンから漏れる月明かり、暗がりに慣れた目に艶めかしく見える。この体を思う存分、ハンガリーは貪ったところだったが、またじわりと内側から溢れ出すような欲望を覚える。…根も腐れかけた幼馴染みの、ド突き合ってきた、ムカつく男に自分は何故、発情しているのだろう?…そう思うが、体は正直なもので、喉が鳴る。それに怯えたような顔をプロイセンがするものだから、加虐心に火が点く悪循環だ。
「噛んでいい?」
「な?!散々、噛んだだろ!お前、俺を喰う気かよ?」
勘弁してくれと涙目になるプロイセンの体には無数の歯型。特に首に付けられた歯型は凹凸が赤く跡を残していた。
「食って、アンタの体がアタシのモノになるなら、そうするわよ。…憎ったらしい」
がぶりと首に齧り付く。びくりとプロイセンの体が跳ねるのを喉の奥でハンガリーは笑う。古の吸血鬼は斯様な気持ちで美女に牙を突き立てたのだろう。もうとっくの昔に失った征服欲がむくりと頭を擡げ、高揚を生む。顔を上げれば、プロイセンは顔を顰め首を隠した。
「…っ、痛ぇよ!加減しろよ!」
赤い目を潤ませて、非難するように睨んでくるプロイセンにハンガリーはにっこりと笑う。やめろと言えばいいのに、加減しろとは。まだまだ、噛んでもいいらしい。
「してるわよ。本気出したら、噛み殺しちゃいそうだし」
「…お前、俺を殺す気かよ…」
本気か冗談か、計りかねるような笑みにプロイセンは諦めの溜息を吐くと、ハンガリーの体を押しのけ、体を起こした。
「…あー、コレ、どーすんだよ?襟立てても隠れねぇぞ」
明日、フランスん家に行かなきゃならないのに、どーすんだよ!絶対、揶揄われるだろ、コレ…。…ブツブツ、文句を言いながら、ベッドサイドの明かりをつけて、化粧台の鏡をプロイセンは覗きこむ。シャツの襟元から、確実に見えるだろう位置にある歯型にプロイセンの骨ばった硬い剣胼胝の残る指が耳朶の下から肩を辿る。その指に心臓がぞくりとなる。
(…あー、本当に駄目だ)
何が、どう駄目なのか、自分でも説明が付かない。ただ解ることは、この男の体が即物的に好きだと言うことで、それに付随してくるその他諸々ものは欲情の言い訳になってしまう。
(…舐めて、噛んで、あらゆるところをぐちゃぐちゃにしたいとか…、体目当て過ぎるわ、アタシ…)
思考が完全に男だ。オーストリア相手には乙女になる思考が、プロイセン相手には野郎思考になってしまう。性欲に似た支配欲に駆られると言うか…。ベッドで受け身になるのは自分なのだが、そこに至るまでの過程が殆ど、レイプもどきだ。マリア時代の名残か、セックスに関しては奥手かつ貞淑、守ろうぜ純潔!な、プロイセンを陵辱してしまっている。
(…普通は、逆よね…)
そう思うが、プロイセンのピンと張った背筋に、小ぶりの締まった尻、首筋のラインを見ているだけで、涎が出そうになるし、後ろから奇襲を仕掛けたくなるのだ。
「アンタの体が、好き過ギル!」
「お前、俺様の体目当てかよ!怖ッ」
憤懣遣る瀬のない突っ込みがプロイセンから入る。背中に抱きつけば重力に逆らうことなく、前のめりになったプロイセンの首にハンガリーは唇を押し当てた。
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